2023/04/28
日本一は2年連続で静岡県掛川市 全国平均より3割もごみが少ないワケ
■人口10万人以上50万人未満の自治体 2010年度からトップ3維持
2年連続で日本一を達成した。静岡県掛川市は、市民1人が排出する1日当たりのごみの量が全国の同じ規模の自治体の中で最も少なかった。全国平均より約30%も少ない。長年続けてきた取り組みが数字に表れている。
環境省によると、2021年度に掛川市民が排出したごみの量は、1人1日当たり622.6グラムだった。掛川市の人口は11万5000人余りで、人口10万人以上50万人未満の自治体の中で最も少なかった。全国平均の890グラムより約30%少なく、2020年度に続く日本一となった。
622.6グラムという数字は前年度より6.5グラム増加している。内訳をみると、生活系ごみが2.1グラム減っているのに対し、事業系ごみが8.6グラム増加。掛川市は「高い市民意識によって生活系ごみが減少した一方、新型コロナ感染拡大が落ち着いて事業活動が活発化してきたことも要因と考えています」と分析している。
掛川市に次いでごみの排出量が少なかったのは東京都日野市、3番目は東京都小金井市で、前年度と順位は同じだった。全国平均は前年度より11グラム減っている。
掛川市は2010年度と2011年度にも2年連続で日本一を達成している。2010年度以降、一度もトップ3から外れていない。
■今年度は総勢679人 クリーン推進員制度で意識向上
ごみを減らす取り組みが地域に根差している主な理由に、市は「クリーン推進員」を挙げている。クリーン推進員制度は、ごみの減量や再資源化への関心を市民に高めてもらう狙いで2001年度に始まった。
推進員は、集積所での分別指導や地域での環境保全活動などの役割を担っている。毎年度、各自治区の役員などと併せて選出されている。定員は各自治区または小区ごとに1人以上、任期は原則1年としている。今年度は総勢679人が選出された。
掛川市の久保田崇市長は今月の定例会見で「クリーン推進員や自治区役員が分別指導を徹底し、市民の皆さんの分別意識やマナー向上につながっていると思っています。順位だけを目指しているわけではありませんが、サステナブルな社会をつくる上でも、ごみ処理に投入している財政面の負担軽減にもつながることからも、取り組みを前に進めていきたいと思っています」と話している。
一層のごみ減量を目指す掛川市は現在の取り組みの継続に加え、新たに「おむつリサイクル・ごみ減量推進会議」を設置した。会議では使用済みの紙おむつや生ごみなどの資源化を研究し、事業者と連携して具体的な事業化に向けた検討を進めていくという。2年連続の日本一にも満足せず、ごみ減量に向けた歩みを止めない。
(鈴木 梨沙/Risa Suzuki)