2023/04/29
新型コロナ5類引き下げへ 飲食店に新たな悩みの種「想像以上の金額でした」
■5月8日から5類 飲食店への県の認証制度は終了
政府は5月8日から、新型コロナウイルス感染症を感染症法上の5類に位置付ける。これに伴い、静岡県は新型コロナ対策の基準を満たした飲食店を認証する「ふじのくに安心安全認証制度」を終了する。5類への引き下げを歓迎する飲食店は多いが、新たな悩みに直面している店もある。
新型コロナによって大きな打撃を受けた職種の1つは飲食業だろう。休業要請の対象となり、営業時間も来店人数も長期間にわたって制限された。大幅に落ち込んだ売上を回復させる見込みが立たず、閉店に追い込まれた店は静岡県でも少なくない。
飲食店の支援策として静岡県が講じたのが「ふじのくに安心安全認証制度」。感染症予防の対策をしている飲食店を県が認証するもので、認証された事業者は公開され、店でステッカーを掲示できる。来店客に向けて安心安全をアピールする目的があった。
政府が5月8日に新型コロナを現在の「2類相当」から「5類」へ引き下げることを受け、県は「ふじのくに安心安全認証制度」を7日限りで終了する。5類引き下げとなれば、感染リスクから外食を敬遠していた人の心理的なハードルが下がると予想される。飲食店は客足が戻ると期待する一方、新たな問題が発生している。ある飲食店の店主は、こう話す。
■大量のパーティションが… 処分は想像以上の金額
「コロナ対策のために取り入れたパーティションの処分に困っています。結構な量があって、業者に処分の見積もりを依頼したら想像以上の金額でした。何か活用できる方法がないか考えていますが、良いアイデアは浮かんでいません」
感染症対策に効果があると言われ、飲食店が導入していた飛沫防止のパーティション。今は行き場を失っているという。
主にアクリルでできているパーティションは産業廃棄物に該当し、自治体によっては一般ごみとして処分できない。この店主は「飲食店だけではありませんが、国や県の新型コロナ対応に振り回されていると感じます。パーティションに感染予防の効果があるのかも分からないまま、営業を続けるためには設置以外の選択肢はありませんでした。パーティションを含めて新型コロナ対策には相当な金額を費やしました」と嘆く。
新型コロナの5類引き下げによって、飲食店には新型コロナ前の活気や売上が戻るのか。県はホームページで「ふじのくに安心安全認証制度」の終了を伝え、「認証店舗の皆さまには長い間、新型コロナウイルス感染拡大防止にご協力いただき、誠にありがとうございました」とコメントを掲載している。
(SHIZUOKA Life編集部)