2023/05/06
松本潤さん効果で過去最多255万人の大盛況にも… 浜松まつりのアンチが根強いワケ
■騎馬武者行列に68万人 警備態勢1000人以上
静岡県浜松市で5月5日まで3日間開催された浜松まつりには、集計方法を現在の形に変えた1996年以降最多となる延べ255万5000人が訪れた。最終日にはNHK大河ドラマ「どうする家康」で主演を務めるタレント松本潤さんらによる「家康公騎馬武者行列」が大きく貢献した。不安視された事件や事故はなく無事に終了したが、市民の一部からは不満の声が上がっている。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で規模を縮小していた浜松まつりは今年、4年ぶりに通常通りの開催となった。浜松市によると、まつりを訪れた人は3日間で延べ255万5000人。そのうち、3日目の家康公騎馬武者行列には68万人が訪れた。
騎馬武者行列には徳川家康が身に着けたとされる甲冑「金陀美具足(きんだみぐそく)」を着用した松本潤さんに加えて、夏目広次役の甲本雅裕さんや井伊直政役の板垣李光人さんも参加した。行列は午後2時頃にザザシティ浜松前を出発し、板屋町交差点までの約800メートルを20分かけて練り歩いた。
沿道には抽選で選ばれた2万2000人分の観覧エリアが設けられたが、予想通り観覧者以外に多くの人が詰めかけ、歩道は人であふれた。浜松市は混雑による事故や不測の事態に備え、民間の警備会社に誘導を依頼した。県警の警察官も巡回し、警備態勢は1000人を超えたという。
会場に設置した救護所では20人ほどの利用があったが、いずれも軽い熱中症だった。事故や事件、大きな混乱なく浜松まつりを終えたことに市の担当者は「入念に準備をして、かなりの数の人員もかけました。岸田総理の襲撃事件が起きて間もないこともあって心配はありましたが、何事もなくてホッとしました」と話した。
■「嫌いな市民は結構いる」 温度差大きい浜松まつり
浜松まつりは浜松市最大のイベントで、まつりのために1年を過ごすという浜松市民は少なくない。長期化する新型コロナ感染拡大で3年間は我慢を強いられたが、今年は凧揚げ合戦や御殿屋台の引き回しがコロナ前と同じ形で開催された。4年ぶりに戻った日常を歓迎する声がある一方、批判や不満を口にする市民は意外と多い。
浜松まつりの会場は中心市街地で、凧揚げ合戦に参加している171町も市内の中心部が大半を占める。1年をかける熱量の高い市民が注目されがちだが、浜松まつりに対する温度差は大きい。特に、まつり会場から遠い地域の住民は“他人事”であり、迷惑に感じる人も少なくないのだ。アンチ浜松まつりの市民の1人は、こう話す。
「まつりに熱心な人たちはプライドを持っているので、価値観を押し付けたり、凧揚げ合戦に参加していない町を下に見たりする傾向があると感じています。浜松市外の人は、浜松市民は誰もが浜松まつりを楽しみにしていると思われるかもしれませんが、まつりが嫌いな市民は結構います」
特に、今年の浜松まつりの開催方法には疑問を感じているという。騎馬武者行列の開催で厳重な警備態勢を敷いたことに「安全を確保するために警備が必要なのは理解していますが、使われているのは税金です。どうする家康関連事業に力を入れている浜松市と、市民の感覚はずれている印象です。もちろん、招待された松本潤さんたちには何の責任もありませんが」と指摘した。
どんな事業や取り組みにも反対派はいる。ただ、税金を投じている以上、市は今後、費用対効果を説明する役割がある。
(SHIZUOKA Life編集部)