2023/05/09
マグロとカツオのまち ドローンでも先駆者に 全国の自治体で初めて国の登録
■焼津市がドローン版の自動車学校に パイロット育成
マグロとカツオのまちが、ドローンでも全国区になろうとしている。静岡県焼津市が全国の自治体で初めて、ドローンの登録講習機関として国道交通省に登録された。他の自治体に先駆けてドローンを防災に活用する取り組みを進めてきた実績が評価されたもので、ドローンパイロットを育成していく。
焼津市が国交省に登録された「無人航空機登録講習機関」は、ドローン操縦技術を付与するための期間で、自動車免許でいう自動車学校の役割にあたる。国が定める施設や整備、講師など要件を満たした民間事業者が登録されているが、自治体としては全国の市町村で初めてだという。
ドローンをめぐっては航空法が改正され、国家資格制度が設けられた。焼津市は今後、市の職員によるドローン隊「ブルーシーガルズ」の隊員や市消防団員らを対象に、ドローンやラジコン機といった無人航空機の技能証明取得に向けた講習を行う。国家資格を持つ知識と技能を兼ね備えたドローンパイロットを育成し、防災面の強化を目指す。
■ドローン隊「ブルーシーガルズ」 市の職員が2016年に結成
焼津市は大規模災害時の情報収集を目的に、ドローン活用を積極的に進めてきた。その象徴が、2016年に発足された「ブルーシーガルズ」。部局の垣根を越えて、市の職員19人が活動している。
ブルーシーガルズ立ち上げのきっかけは、2015年に発生した斜面の崩落だった。マグロやカツオといった海産物で知られる焼津市だが、市の北東部は山間地。山間部の被災状況を確認するために現地へ向かおうとしても、車や人が入れない場所は少なくない。迅速な災害対応には情報収集のスピードと正確さが不可欠と考え、ドローンの導入を決めた。
まだ当時はドローンが今ほど一般的ではなかったが、隊員たちは通常業務の合間に訓練を重ね、大規模な防災訓練などでも経験を重ねた。最初は数人だった隊員は19人まで増加。2020年には市民が参加する消防団のドローン隊「スカイシュート」も結成された。他の自治体も視察に訪れるまでのパイオニアとなった。
焼津市は先月、全国でドローンの講習所を展開する都内の「日本無人航空機免許センター」と教材提供に関する協定を結んだ。これにより、焼津市は日本無人航空機免許センターの教材などを活用して市内でドローンパイロットの育成を強化できるという。マグロやカツオなど全国有数の水揚げを誇る港町は、ドローンのまちとしても着実に知名度を高めている。
(SHIZUOKA Life編集部)