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2023/05/13

不要な身体的接触が最多 教職員のセクハラ2割増加 小学生急増に教師は戸惑いも

教職員からセクハラを受けたと感じた児童・生徒は増加

■教職員からセクハラ139人 小学生32→60人に急増

静岡県教育委員会が、教職員によるセクシャルハラスメントの実態調査の結果を公表した。教職員から「セクハラを受けたと感じた」と回答した児童・生徒は昨年度139人で、前年度から24人増えた。中でも小学生が32人から60人に急増している。

 

県教委による調査は小学5年生から高校3年生の児童・生徒計15万3394人を対象に、昨年11月から今年3月までの期間で実施された。児童・生徒はセクハラについて説明を受けた上で、家庭などで記入して提出したという。回収は担任を介さず管理職が担当し、無記名も可能とした。

 

教職員から「セクハラを受けたと感じた」と回答したのは全体で139人。最も多かったのは小学生の60人で、中学生55人、高校生19人、特別支援学校5人となった。高校生以外は前年度よりも増加し、中でも小学生は32人から60人と大幅に増えている。

 

■「頭をなでられた」 不必要な身体的接触が最多

セクハラを受けたと感じた内容については、「不必要な身体的接触」が最多だった。具体的には、「頭をなでられた、ポンポンと触られた」、「リボンが結べない時に『結んであげる』と手を伸ばされた」、「授業中に座る姿勢を直される時、お尻をたたかれた」などが挙げられた。

 

次に多かったのは、「身体的特徴など羞恥心を害する内容の発言」。具体的には体育の授業で「太っている」、「セルライトがたまっている」と言われたり、授業中に「女性の裸を見たいよな」と質問されて嫌な気持ちになったりしたという回答があった。

 

その他には、早く着替えるよう指導するためとはいえ更衣室への入室が頻繁過ぎるといった「不必要な接近、凝視」や、「男のくせに泣くな」のような「性別による役割の強要」なども挙がっている。今回の調査では強制わいせつや盗撮、わいせつ行為に関する回答はなかったが、昨年度は生徒へのセクハラにより停職4か月の懲戒処分としている事案が1件確認されている。

 

県教委はセクハラを受けたと感じる児童・生徒が前年度から増えている理由について、子どもへの啓発に力を入れているため小学生にもセクハラの認識が広がっていることを一因に挙げている。調査結果に基づいて各学校に注意指導を行っており、継続的に観察や指導を実施して再発防止を徹底するとしている。

 

■現職の小学校教師が不安吐露「指導に支障が出る」

セクハラが許されない行為というのは大前提だが、現場の教師には戸惑いもある。調査結果の中にはセクハラと感じた内容について、「休み時間終了時に教室へ戻るよう手で腰の辺りを押して促された」、「部活動の練習中に体や手を触られた」、「授業中に教員の額が近接し不快に感じた」といった回答があった。静岡県内の小学校に勤務する女性教師の1人は、こう漏らす。

 

「学校生活は集団行動でルールがあります。休み時間が終わっても授業の準備ができていない児童には、近づいたり触れたりして急ぐように伝えるケースはあります。セクハラへの認知が広がって子どもたちが声を上げやすい環境をつくることは大切です。ただ、何に対してもセクハラと言われてしまうと指導に支障が出てしまいます」

 

実態調査は子どもたちへのセクハラを根絶させるスタートであって、ゴールではない。児童・生徒がセクハラと感じた内容の把握と同時に、教職員との普段の関係性に問題がないかなど、背景も注視する必要がある。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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