2023/05/25
大型連休の静岡県は浜松まつりの“独り勝ち”? 255万人の人出には疑惑も
■大型連休の人出は38%増加 浜松まつり除くと13%減少
ゴールデンウィーク期間に静岡県のイベントや主要観光施設に訪れた人は約662万人で、昨年から37.9%増加した。ただ、浜松まつりを除くと13.1%減少しており、浜松まつりの“独り勝ち”となった。その浜松まつりの人では255万人と発表されているが、実際に会場を訪問した人からは疑問の声も上がっている。
民間の調査機関「静岡経済研究所」によると、今年4月29日から5月7日間までのゴールデンウィーク期間で、静岡県内で開催されたイベントや主要観光施設(247か所)を訪れたのは661万9000人で、昨年より181万8000人増えた。
人出が最も多かったのは浜松まつりの255万5000人で、全体の4割近かった。この浜松まつりを除くと、イベントや観光地の訪問者は昨年より13.1%減っている。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年と比べると、28.7%減少となった。
浜松まつりは大盛況だった一方、昨年の人出に届かなかったイベントや施設は6割を超え、9割以上が新型コロナ前の実績を下回った。来場者が減ったマイナス要因として最も多かったのは「天候・気温」で、「物価高」、「景気や世相」が続いた。
静岡経済研究所は「新型コロナ収束は大きなプラス要因となったものの、天候や曜日配列に加えて、物価高による家計状況が人出を鈍らせる要因になったと推測される」と分析している。
■騎馬武者行列の見物客68万人の発表 実際は「5万人くらい」の声
新型コロナの影響で4年ぶりの通常開催となった浜松まつりの人出は、昨年の20.8倍まで増えた。255万5000人は過去最多だった2019年の209万人を更新した。NHK大河ドラマ「どうする家康」で主演を務める松本潤さんらによる騎馬武者行列には、68万人の見物客が訪れた。浜松市の抽選による観覧者2万2000人を大幅に上回った。
ただ、この68万人という数字には“疑惑”がある。実際に会場を訪れた人は「一緒に行った人たちとも5万人くらいだよねと話していました。どんなに多く見ても10万人は超えていないと思います」と疑問を投げかける。浜松市の職員からも「68万人はあり得ない」という声が上がっている。
浜松まつりに限らないが、チケットのない規模の大きなイベントで人出の実数を出すのは難しい。一般的には、一定の範囲を通った人数に時間を掛け合わせるなどして計算する。浜松まつりも市の職員による調査に基づいて人数を算出したという。
イベントの人数発表をめぐっては、イベント主催者が目視で決定したり、主催者と報道陣の話し合いで決めたりするケースが少なくない。公にする数字は実態が伴わなければ意味がなく、時にはデメリットもさえも生まれる。
(SHIZUOKA Life編集部)