2023/06/16
父の日は静岡県では「〇〇〇の日」 2012年に制定 県民への認知度は?
■静岡県が日本一の産地 「わさびの日」
6月の第3日曜にあたる18日は父の日だが、静岡県では別の記念日にもなっている。「わさびの日」。静岡県産わさびを広く知ってもらうため、静岡県山葵組合連合会が2012年に制定した。わさび栽培の発祥地とされている静岡県の水わさびは世界農業遺産に認定されている。
生産者による任意団体「静岡県山葵組合連合会」は、わさびの普及や業界の発展を目的に設立された。生産量や産出額で日本一を誇る静岡県産わさびの魅力を広め、わさびを使った料理でお父さんに日頃の感謝を伝えてもらおうと、6月の第3日曜を「わさびの日」に制定した。
静岡県はわさび発祥の地として知られている。美食家だったと言われる徳川家康に献上したところ、その風味を気に入り、わさびの葉が徳川の家紋と似ていたことから、わさびを門外不出にしたという。
■徳川家康が愛して門外不出に 2018年に世界農業遺産認定
わさびが今のように寿司に使われるようになったのは1800年頃と言われている。江戸でわさびを付けた握り寿司が流行したとされている。
静岡県が日本有数のわさびの産地となったのは、徳川家康が静岡市葵区の有東木のみで栽培を認めていたことに加えて、19世紀前半に新鮮なわさびを江戸へ船で輸送できたことなどが挙げられる。また、水温や水質もわさび栽培に適している。
静岡県のわさびは、渓流や湧水を利用して栽培する「水わさび」。色合いや香り、辛みや甘味が優れていると評される。2017年には農林水産省の日本農業遺産、2018年に国連食糧農業機関の世界農業遺産に認定された。
静岡県農芸振興課は、わさびの選び方に「根茎が太くて、みずみずしいもの」を挙げている。大きさが小さくても味に影響はなく、黒くてしぼんでいるものは味が落ちるという。
■わさびのおいしい食べ方や保存法は?
すり下ろし方は皮をむかずに茎だけむしって、キメの細かいおろし金でゆっくりと粘りが出るようにおろす。ゴシゴシおろすのは禁物で、細かくおろすほど辛みが増す。
残ったわさびは水気を拭き取ってからラップで包めば、冷蔵庫で1か月ほど保管できる。多少黒っぽくなっても中身には問題なく、黒い部分だけを取り除いて使えば良いという。一般的な寿司やそば以外の食べ方には、アイスクリームに添えたり、焼酎のお湯割りに加えたりする活用法などを勧めている。
わさびの日が制定されてから11年。地道なPR活動が続いているが、県内のわさび農家は、「あまり県民には知られていないと思います」と話す。父の日にはチューブ入りとは違う本物のわさび、わさびを使ったインパクトのある料理を食卓に並べれば、認知度が高まるかもしれない。
(SHIZUOKA Life編集部)