2023/06/14
日本トップクラスの成功例を視察 静岡の港町が韓国のモデルケースに!?
■ふるさと納税の寄付額 静岡県で断トツの焼津市
人口13万人余りの静岡県にある港町が、韓国のモデルケースになるかもしれない。韓国・忠清南道(チュンチョンナムド)の知事らが、ふるさと納税の成功例を学ぼうと焼津市を訪れた。焼津市は2021年度のふるさと納税寄付額が64億8500万円と全国でもトップクラスとなっている。
忠清南道は韓国の中部に位置する行政区で、静岡県と友好協定を結んでいる。忠清南道の金泰欽知事らは協定締結10周年の関連事業で静岡県を訪問。その際、県に「ふるさと納税の先進的な事例を知りたい」と依頼した。そこで、県が紹介したのが焼津市だった。
韓国では今年1月から、日本のふるさと納税にあたる「故郷愛寄付制」が始まった。深刻な都市部への人口流出に歯止めがかからず、都市部の財源を地方に回す目的がある。年間10万ウォン(約1万800円)の寄付までは全額が税金から控除され、日本と同様に寄付額の3割を限度にした返礼品を受け取れる仕組みになっている。
忠清南道の訪問団は焼津市役所を訪れ、市の職員からふるさと納税の取り組みについて説明を受けた。その後、市内にある子育て支援施設「ターントクルこども館」を視察した。この施設は絵本やおもちゃなど様々な遊びを楽しみ、幅広い世代が交流することをコンセプトにしており、ふるさと納税の寄付金を活用して整備した。
■今年4月から韓国でもスタート 手続きの煩雑さ課題
焼津市によると、韓国の訪問団からは「寄付金がたくさん集まっている要因」、「人気の返礼品」、「寄付の手続き」などについて質問があった。市の担当者は「マグロやカツオといった海産物が人気で、最近はネギトロやツナ、ビールの需要も増えている」などと回答した。
寄付の手続きに関しては、日本には複数の専門サイトがあり、インターネットショッピングのような形で簡単にできることを伝えた。韓国では日本の総務省にあたる「行政安全部」が管理するサイトのみに限られ、手続きも煩雑だという。
焼津市は静岡県の自治体に先駆けて、2014年度からふるさと納税を導入している。1400種類にも上る豊富な返礼品が人気を呼び、2021年度の寄付額は64億8500万円。県内では2位・富士宮市の28億8500万円に大差をつけてトップに立っている。全国の自治体でも11番目に多い。焼津市の成功は、韓国版ふるさと納税のヒントになるだろう。
(間 淳/Jun Aida)