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2023/06/21

本気で農業に励むハリウッド女優 自ら育てた米で造った日本酒 静岡県知事に贈呈

工藤さん(中央)は川勝知事(左)に自身が造った日本酒を贈呈

■富士宮市在住の工藤夕貴さん 2009年から本格的に酒造り

静岡県富士宮市在住の女優・工藤夕貴さんが、地元の老舗清酒製造業者「富士錦酒造」と共同で醸造した日本酒「純米吟然酒 賜(ギフト)」を川勝平太知事に贈呈した。無農薬の自然農法でつくった日本酒は珍しく、工藤さんは毎朝5時に起きて仕込みをしていたという。

 

10代から女優として活動していた工藤さんはハリウッド映画にも出演し、一時は米国を活動拠点にしていた。2006年に富士宮市へ移住。2009年からは本格的に酒造りを始めた。

 

日本酒の原料としているコシヒカリは、工藤さん自身が無農薬の自然農法で栽培している。仕込みの時期には毎朝5時に起床し、「命をかけて」日本酒を造った。

 

日本酒は玄米を削って残った部分を表す「精米歩合」によって名称が変わる。吟醸酒は大60%以下、大吟醸酒は50%以下に定められている。精米に手間がかかっている分、大吟醸の価格は高くなる傾向にある。

知事室を訪れて談笑する工藤さんと川勝知事

■「これは酒じゃない」 ビール党が日本酒党に転身

工藤さんが「富士錦酒造」と共同で醸造した日本酒「純米吟然酒」は米を10%しか削っていない。しかし、吟醸と同じように雑味がなく、切れのある味わいに仕上がったという。工藤さんは「毎年、味が良くなっています」と川勝知事に自慢の日本酒を贈呈した。

 

工藤さんは新型コロナウイルス感染拡大前にも、川勝知事に自ら造った日本酒を贈っていた。日本酒好きの川勝知事は、その味を絶賛し、こんなエピソードも披露した。

 

「特定のビールだけを好み、頑なに日本酒は飲まないと言っていた人に、工藤さんからいただいた日本酒を勧めました。すると、一口飲んで『これは酒じゃない』と驚いていました。日本酒のイメージを覆す味だったです。以来、ビールから日本酒を飲むようになりました」

 

工藤さんは自身の日本酒について「雑味がなく香りが良いのが特徴」と表現する。バナナのようなふくよかな甘い香りで、甘すぎないためどんな料理にも合うと話す。「本気で農業と向き合って造った日本酒です。味だけではなく、自然農法で体にも優しいので、海外にも広めていきたいと思っています」。ハリウッド女優が本気で造った日本酒は近い将来、海を渡るかもしれない。

 

(間 淳/Jun Aida

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