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2023/07/04

「1万円でもいい」、「若者の体験減る」 任意で1人1000円 富士山入山料は妥当?

夏山シーズンが到来した富士山の登山道

■1日に山梨側ルート開通 10日に静岡側3ルートも

富士山の夏山シーズンが始まった。7月1日に開通した山梨県側のルートに続いて、10日に静岡県側も開通する。富士山の登山者には1人1000円の富士山保全協力金(入山料)が設けられているが、任意となっている。入山料の金額や対象者をめぐっては、様々な意見が交錯している。

 

富士山は7月1日、山梨県側の吉田ルートが山頂まで全面開通した。10日には富士宮、御殿場、須走と静岡県側にある3つのルートも開通する予定となっている。

 

今年は新型コロナウイルス感染拡大による行動制限がなくなり、昨年までと比べて登山者数が大幅に増えると予想されている。そこで、改めて議論となっているのが、入山料と呼ばれる富士山保全協力金だ。

 

入山料は2013年に富士山が世界文化遺産に登録されたことを受け、2014年から徴収が始まった。金額は1人1000円。集まった協力金はトイレの改修や新設、救護所の拡充といった富士山の保全に使われる。

 

協力金は任意のため、徴収率は高くない。山梨県側は昨年初めて、目標とする徴収率7割を超えた。ただ、昨年は新型コロナの影響で感染拡大前の2019年と比べて4割ほど登山者が少なかった。静岡県側の徴収率は山梨側より低く、昨年は57.3%にとどまっている。

 

■「安すぎる」、「金額上げる前に…」 入山料値上げに賛否

1人1000円の入山料をめぐっては、賛否両論が巻き起こっている。元大阪府知事で弁護士の橋本徹さんはフジテレビの情報番組「めざまし8」で「賛成」の立場を明らかにし「もっと金額を上げるべき。安すぎると思う」とした。ただし、「日本人にかけるのは反対。税金を払っていますから」と入山料は外国人を対象にすべきと主張した。

 

社会学者の古市憲寿さんも「1人1000円は安すぎる」とコメントした。その理由について「今の欧州や米国の通過で言えば、6ユーロや7ドルくらい。これは何の規制にもなっていない」と指摘。日本人も含めて、「金額を1万円くらいしてもいい」と話した。古市さんは、その理由を説明している。

 

「山登りをする人は、お金をかけて装備を整えています。お金がない人が行くことはあり得ないわけで、任意で1000円を徴収する状況だから、ふらっと短パンで登山に行く人が出てくる」

 

一方、モデルの長谷川ミラさんは番組で入山料の値上げに反対した。日本の若者は給料が上がっていないとことを理由に挙げ「観光地の値段がどんどん上がってしまうと、私たちが国内でできる体験が減ってしまうと危惧している。今の金額のまま、登山を事前予約制にするなど、金額を上げる前にやるべき制限がある」と訴えた。

 

■入山料値上げでマナー改善を指摘する声

静岡県民の間でも賛否が分かれている。Tシャツやサンダルで登山したり、弾丸登山したりする危険な人が後を絶たないことから「入山料を上げて服装をチェックしたり、予約制にしたりすれば抑制につながる」「金額を高くした方が、トイレの使い方やゴミの持ち帰りなど、マナーを無視する人が減るのではないか」と値上げに賛成する声がある。

 

他には、「日本人と外国人観光客の金額を変えるべき」、「社会人は1000円では安すぎるが、学生は1000円でも構わない」といった意見もあった。

 

富士山の入山料については、当面は値上げせずに任意の徴収とする方針が、静岡県と山梨県などでつくる富士山世界文化遺産協議会の作業部会で決まっている。今年の富士山は静岡、山梨両県とも9月10日を閉山日にしている。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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