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2023/07/16

競泳の五輪金メダリストが伝える命を守る着衣泳 ペットボトルで水に浮く方法指導

ペットボトルを使って水に浮く方法を教える岩崎さん

■元競泳選手・岩崎恭子さん 着衣泳のプロジェクト立ち上げ

水の楽しさと同時に怖さも知っているからこそ、伝えられることがある。沼津市出身でバルセロナ五輪金メダリストの岩崎恭子さんが、水難事故から命を守る「着衣泳」を広げる活動を始めた。7月12日には三島市の小学校を訪問し、ペットボトルを使って水中に浮く方法を子どもたちに指導した。

 

14歳の時に出場したバルセロナ五輪の女子平泳ぎ200メートルで金メダルを獲得した岩崎さんは先月27日、「着衣泳を広めるプロジェクト」を立ち上げた。今月12日に三島市立佐野小学校で講演した岩崎さんは水泳選手としての経験を語った後、命を守る泳ぎを学ぶ必要性を訴えた。

 

専門家の研究を引用して日本の溺死率が高いことを子どもたちに伝え、先進的な取り組みを進めているオランダの例を紹介した。オランダでは衣服を着たまま水に浮いて移動する「着衣泳」を学び、先進国の中でも致死率が低いという。

腕と肩の力を抜くと体は自然に浮くという

■金メダリストもおぼれた経験 水の楽しさと怖さを理解

岩崎さんは子どもたちに「私も川でおぼれた経験があります。川や海に行く時は必ずライフジャケットを身に付けています」と語った。五輪の金メダリストだからこそ果たせる役割があると考えている。

 

「小さい頃から川や海には、よく遊びに行きました。水の楽しさも知っていますが、自然の怖さも理解しています。泳ぎが得意でも、水深が浅くて水流が強い川では簡単に流されてしまいます。元競泳選手の私だからこそ耳を傾けてもらえる部分もあると思い、水難事故による死者ゼロを目指して活動をスタートしました」

 

岩崎さんは講演後、プールでペットボトルを使って体を浮かせる方法を子どもたちに教えた。腕や肩の力を抜いてペットボトルをビート板のように使うと、体は自然と浮く。岩崎さんは手本を見せながら「肩に力を入れると沈んでしまいます。お腹に力を入れるように」とアドバイスした。

 

★岩崎さんは指導の最初に泳ぎを披露

 

■大事なのは力を抜く感覚 水が怖い子どもほど有効な着衣泳

小学生の中には水への恐怖心がある子どもが少なくない。岩崎さんは泳ぎが苦手な子どもほど、着衣泳の効果があると強調する。

 

「着衣泳は体を浮かせる方法が身に付きます。浮けるようになると自信がついて、水への怖さはなくなっていきます。恐怖心が強い人ほど肩に力が入ってしまうで、力を抜いて水に浮く感覚を覚えることが大事です」

 

おぼれてしまう事故は、衣服を着ているケースが多い。本格的な夏を迎え、海水浴や川遊びの機会が増えるシーズン。水の楽しさを知るには怖さも同時に認識し、いざという時に命を守る方法が重要になる。岩崎さんは今後も、全国各地で着衣泳の大切さを伝えていくという。

 

(間 淳/Jun Aida

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