静岡県からは浜松開誠館が夏の甲子園出場へ

■佐野心監督は元中日の外野手　投手コーチも元中日

甲子園常連校が大会の序盤で破れ、全国で“波乱”という言葉が飛び交った夏の甲子園の地方大会。静岡大会の頂点に立ったのは、浜松市の浜松開誠館高校だった。創部26年目で春夏通じて初めて手にした甲子園切符。元プロ野球選手の指導によって、近年は安定した力をつけていた。

第105回全国高校野球選手権記念静岡大会は29日に決勝戦が行われ、浜松開誠館が東海大静岡翔洋との打ち合いを制した。自慢の打線が爆発し、先発全員安打で18安打12得点。相手の反撃を8点に抑えて逃げ切った。

今大会は第4シードで臨んだ浜松開誠館は近年、静岡県の高校野球をけん引する存在となっている。昨春は県大会で初優勝し、季東海大会でも頂点に立った。チームを指揮するのは佐野心監督。浜松商業3年の時に、選手として夏の甲子園に出場している。

佐野監督は浜松商業から専修大、いすゞ自動車へと進み、1991年にドラフト6位で中日に入団した。俊足好打の外野手として期待されたが、プロ通算成績は27試合の出場にとどまった。

■プロ通算404本塁打　中村紀洋氏が非常勤コーチ

常葉菊川での指導を経て、2016年に浜松開誠館の部長に就任。翌2017年から監督を務めている。元プロ野球選手の人脈を生かし、中日時代のチームメートだった小池拓一さんと小島弘務さんの2人を投手コーチとして招へい。キャッチボールや投球フォームといった基本からチームを改革し、投手力を底上げした。

打力アップに大きく貢献したのが、現在は中日で打撃コーチを務めている中村紀洋さん。近鉄や中日などで活躍し、プロ通算404本塁打を記録。本塁打や打点のタイトルを獲得している。

中村さんは佐野監督から打診を受け、2017年から2021年10月まで浜松開誠館で非常勤コーチを務めた。現役時代に特徴としていたフォロースルーを大きく取るフルスイングを選手たちに伝授した。甲子園出場を決めた今大会でも、選手たちの豪快なスイングが目立った。佐野監督は「チームの打力はノリの置き土産」と感謝している。

中高一貫の浜松開誠館（学校のHPより）

■サッカー部は多数のプロ輩出　女子バスケは県内136連勝中

浜松開誠館は野球部以外にも、サッカー部やバスケットボール部の強豪校として県内では知られている。サッカー部は今年、全国高校選手権に出場。PK戦の末、2回戦で敗れたものの、前回大会で準優勝した熊本・大津と互角の戦いを見せた。プロサッカー選手も多数輩出し、清水エスパルスのMF竹内涼選手やジュビロ磐田のDF松原后選手も浜松開誠館のOBだ。

バスケットボール部も全国レベルで、特に女子は今年の県高校総体で7連覇を果たした。県内での公式戦の連勝を136に伸ばし、静岡県では無双となっている。静岡代表として出場した今月の全国高校総体では3回戦で福岡・精華女に46-59で敗れた。

サッカー部やバスケットボール部に続き、全国の舞台に立つ浜松開誠館の野球部。投打で元プロ野球選手の指導を受け、着実に力を伸ばしてきて初めての甲子園切符を手にした。

（SHIZUOKA Life編集部）