2023/07/30
かわいい形は絶妙な計算 33種類に変身 食べておいしい、ちぎって楽しいロングセラー
■三立製菓の「かにぱん」 販売から間もなく50年
計算された形や食べるだけではない楽しみ。長年愛されるのは確かな理由がある。浜松市に本社を置く三立製菓の看板商品「かにぱん」は発売から間もなく50年を迎える。ちぎって食べる楽しさが特徴の1つで、カニ以外にもトンボやキリン、ドライヤーや潜水艦など、変身できる形は33種類に上る。
かにぱんの販売は1974年に始まった。それ以前には、ウサギや牛、サッカーボールやSLなどをモチーフにしたパンも売り出していた。同じ味で様々な形をつくる中で、ロングセラーとして残ったのがかにぱんだった。
かにぱんには他の形にない特徴があった。手足をちぎると一口サイズになり、子どもでも食べやすい。また、長方形に近いため、型抜きをした時に生地のロスが少ない。均等に入った生地の切れ目は焼いた時のムラを防いでふっくらと仕上がるという。消費者にも製造する三立製菓にもメリットがあるのだ。
かにぱんの魅力を発信するかにぱんお姉さんは「かわいらしい見た目も長年愛されている理由だと思います。個人的には、お正月のごちそうで用意されるように日本人がカニに対して憧れがあることも要因なのかなと感じています」と話す。
■ちぎり方は公式33種類 熊本城やサソリつくったファンも
ちぎって食べるかにぱんの文化が広がったきっかけは、地方ラジオ局への投稿だった。かにぱん好きのリスナーが、ちぎってつなげるとトンボの形になるとラジオ局にメッセージを送った。三立製菓内でも、ちぎって食べる方法は一般的だったが、その投稿以降ちぎって食べる方法を“公式”とした。
社内ではトンボ以外の形も研究し、現在は1つのかにぱんが33種類の形に変身する。公式ホームページで、ちぎり方の手順を公開している。
かにぱんお姉さんが開催しているかにぱん教室でも、子どもたちが自由にちぎって形を組み合わせている。大人のファンも熱心で、中には大量のかにぱんを使って熊本城やサソリをつくった人もいるという。
発売から来年で50周年を迎えるかにぱん。子どもにも大人にも長年愛される静岡県を代表するパンとなっている。
(SHIZUOKA Life編集部)