2023/08/07
主要花火大会の73%で有料席 最高値は30万円 有料化を歓迎する人の割合は?
■有料席導入している花火大会の85% 新型コロナ後に値上げ
かつては無料が当たり前だった花火大会は有料化の動きが加速し、価格も上がっている。全国で開催される今夏の主要な花火大会は、約7割が有料席を導入している。金額は値上がりしている傾向が高く、中には30万円の席も販売された。
帝国データバンクの調査によると、今年7月から9月に全国で開催される106の花火大会のうち、全体の73%にあたる77の大会で観覧エリアに有料席を導入している。新型コロナウイルス感染拡大を経て有料化したケースや、全席指定の有料化に踏み切った大会もあるという。
また、2019年から有料席を導入している大会の85%が、今年から有料席の値上げをしている。有料の観覧席が複数ある花火大会における1席当たりの最安値の平均は4768円で、2019年から1092円上昇。最も高額な有料席は4年前から1万1182円高い3万2791円だった。
静岡県内の花火大会では、7月29日に袋井市で開催された「ふくろい遠州の花火」で有料観覧席が設けられた。4人まで入ることができるファミリー席(210センチ×180センチ)は2万2000円、パイプ椅子の席は1人7000円などとなっていた。
それぞれの大会で広々としたテーブル席やグランピングシートなど、プレミアム化・高価格化が進んでいる。最も高額な有料席は、8月5日に神奈川県で開催された「小田原酒匂川花火大会」の「Sタイプ/ベッド席」で、30万円(大人2人)となっている。
■花火大会の有料席 3人に1人以上が購入または検討
値上げの背景として、帝国データバンクは輸入花火や運営コストの増加を挙げている。2023年6月までの打ち上げ花火輸入価格は1キロあたり1700円。過去15年の平均より5割高かった。ロシアによるウクライナ侵攻の影響で花火の原料となる火薬類が大幅に値上がりした2022年と比べると価格は落ち着いたものの、依然として高止まりが続いている。
また、観客の安全を確保するため、警備にかける費用は年々、増加している。仮設トイレの設置や違法駐車の監視などにもコストがかかり、人件費の高騰も運営側の負担が大きくなる要因となっている。こうしたことから、有料席を新たな収入源にする動きが加速している。
値上げの動きは日用品や光熱費などモノにとどまらず、サービスにも広がっている。ここ数年で大幅に金額が上がっているテーマパークやイベントは少なくない。花火大会も、この流れに乗っている形だが、新型コロナ感染拡大前の時点で有料席は一定の理解を得ていた。
大手旅行会社JTBが2018年に実施した調査では、回答した2016人のうち15%が有料席を「購入したことがある」としている。また、「購入したことはないが検討したい」と答えた割合は21%を占めた。全体の3人に1人以上が、花火大会の有料席に必要性を感じていた。
帝国データバンクは「新型コロナによって規模の大きな花火大会では人混みを避けて花火を見たいと考える人は増えているとみられ、今後も有料化や値上げの傾向が高まると予想される」とまとめている。
(SHIZUOKA Life編集部)