2022/07/16
物価上昇による家庭の負担軽減へ 静岡市が7月から省エネ家電購入に補助金
■エアコン、冷蔵庫など購入で最大3万円の補助
物価高騰に頭を悩ませる市民の負担軽減や、地球温暖化への関心につながるのか。静岡市が7月から、省エネ性能に優れた家電の購入に補助金を支給する。1世帯あたり最大3万円の補助を歓迎する声が上がる一方、効果や税金の使い方を疑問視する意見が出るなど、賛否が割れている。
物価の上昇が止まらない。家庭で購入するモノやサービスの値動きを把握する統計指標「消費者物価指数」は、5月も昨年の同月を2.1%上回り、9カ月連続の上昇となった。4月も2.1%上昇しているが、2%を超えたのは消費税引き上げの影響を除けば、13年7カ月ぶりと異例の事態が続いている。
原材料費やエネルギー価格の高騰などが、新年度からの「値上げラッシュ」を引き起こし、市民生活に影響を及ぼしている。家計への負担が大きくなる中、静岡市は省エネ家電の購入に補助金の支給を決めた。
対象となるのは、7月1日から来年1月末までに静岡市の店舗や事業者から購入したエアコン、冷蔵庫(冷凍庫含む)、テレビ、照明器具で、省エネ性能の星が冷蔵庫は3つ以上、それ以外は4つ以上が条件。購入金額に応じて補助の金額が変わり、15万円以上(税抜き)には3万円が支給される。購入後、市への書類を提出が必要となる。
省エネ家電の補助金のために、静岡市は今年度の一般会計6月補正予算案に1億6500万円を盛り込んだ。家庭の負担軽減に加えて、地球温暖化対策への関心を高め、温室効果ガス排出量の削減につなげるとしている。市の試算では、最新の冷蔵庫は10年前のものと比べ、それぞれ消費電力が約4割抑えられる。年間の5000円ほど、電気料金を節約できるという。
■家計を助ける効果は? 市民からは歓迎と疑問が交錯
今夏は電力不足が指摘されていることもあり、省エネ家電の購入を推進する市の取り組みを歓迎する声が上がっている。市民からは「補助金があると、購入に踏み切りやすい」、「行政が温暖化抑止の姿勢を示すのは、市民が関心を持つきっかけになる」などの意見があった。
一方、効果を疑問視する意見もある。家計の負担を軽減するには生活に直結する食料品や光熱費の補助を求め「省エネ家電を購入するのは富裕層が多い。補助金は税金なので、市民を一律に支援する方法を考えてほしい」という声がある。また、「半導体不足で店舗にエアコンが不足していて、購入できない」、「限られた企業だけが恩恵を受ける補助金の使い方には疑問」といった考え方もある。
対象が一部の市民や企業に限定される補助金は納得されないケースがある。だが、全市民に給付金を支給すれば“ばら撒き”と批判される可能性もある。どんな対策も賛否両論が分かれるのは避けられない。補助金は税金である以上、少しでも理解を得るためには、行政が補助金の根拠を明確に示す必要がある。
(SHIZUOKA Life編集部)