2023/08/17
49年間変わらない形 味は時代とともに変化 静岡県のご当地パン「かにぱん」
■改良して「ふんわり食べやすく」 アレルギーや健康志向も意識
浜松市に本社を置く「三立製菓」が販売しているかにぱんは長年愛され、静岡県にとどまらず全国にファンがいる。かにぱん好きを公言しているタレントも多い。来年で50周年を迎えるロングセラー商品だが、その味は時代に合わせて少しずつ変化している。
2021年に創業100周年を迎えた三立製菓は大正、昭和、平成、令和と4つの元号で歩んできた。その歴史の半分近くを占める看板商品が「かにぱん」だ。愛らしい見た目、ちぎって食べられる特徴が子どもを中心に長年愛されている。
販売を始めた当初から現在に至るまで、かにぱんの形は変わっていない。一方、味は時代に合わせて改良している。誰よりもかにぱんを愛し、かにぱんを知る「かにぱんお姉さん」は、こう力説する。
「なぜか、かにぱんはパサついて口の中の水分を持っていかれると思っている方もいますが、全くそんなことはありません。今はふんわりしていて食べやすいです。『改良されておいしくなっていますよ』と声を大にして伝えたいです」
時代によって味の好みは変化するため、常に改良を重ねている。ただ、「ほんのり甘い」コンセプトは継承しているという。アレルギーを考慮して卵を使用していないことも特徴で、製造工場の同一ラインで卵を使った商品を一切つくらないほど徹底している。最近は健康志向が高まっていることから、1袋2枚入りのかにぱんに計105億個の乳酸菌を加えた。
■賞味期限は45日 コスパの高さも人気の理由
かにぱんをはじめとする定番商品の改良は、長い期間をかけて社内で検討するという。社内でのテストや一般消費者のモニターテストなどを重ねる。固定ファンの期待を裏切らないように心掛けながら、今以上の味を追求している。
改良した結果、製造からの賞味期限も40日から現在は45日間まで伸びている。原材料費の高騰で多少の値上げをしたものの、1袋120円前後とコストパフォーマンスも高い。ロングセラーにあぐらをかかず、かにぱんは伝統を守りながら時代のニーズにあった味へと変化している。
(SHIZUOKA Life編集部)