2022/07/18
J1清水エスパルスに「ピカチュウ」加入 なぜブラジル人選手はあだ名が多い?
■小柄で素早い動きが特徴 アニメ・ポケモンのキャラクター由来
残留争いから抜け出す救世主となれるのか。サッカーJ1清水エスパルスが新戦力として、ブラジル1部フォルタレーザECのMFヤゴ・ピカチュウを完全移籍で獲得した。ピカチュウという名は、大人気アニメ「ポケットモンスター」に登場するキャラクターから付けられた。ブラジルでは、あだ名を名前にするケースが多い。
ピッチに立つ前から話題性十分な新戦力が加わった。ヤゴ・ピカチュウ。世界的にも人気のアニメ「ポケットモンスター」の主要キャラクターと同じ名前はニックネームで、ピカチュウのように小柄で素早い動きをすることから子どもの頃に所属してたコーチに付けられたという。
現在30歳のピカチュウは身長169センチ、体重63キロで、サイドハーフとサイドバックをこなす攻撃的な選手。今シーズンはブラジル1部リーグで14試合に出場し、4得点をマークしている。海外メディアは移籍金を80万ドル(約1億1100万円)と報じている。
ピカチュウは、エスパルスのゼ・リカルド監督が指揮していたブラジル2部バスコ・ダ・ガマで、昨年までプレーしていた。そのエスパルスは、J1で苦しい戦いを強いられている。
■エスパルスは18チーム中17位 J2自動降格圏に低迷
7月16日の浦和戦に1-2で敗戦。22試合を終えて4勝8分け10敗の勝ち点20で、18チーム中17位に沈んでいる。このままいけば、J2に自動降格となる。
ピカチュウはエスパルスを通じ「チャンスをいただき、とても幸せです。ゼ・リカルド監督とともに闘えることも大変うれしいです。期待に応えられるように頑張ります」とコメントしている。
日本でプレーを披露する前に、名前が話題になったピカチュウ。日本ではG.G.佐藤氏やデーブ大久保氏らプロ野球選手の例はあるものの、あだ名を選手名で登録するケースはほとんどない。だが、ブラジル人サッカー選手は決して珍しくない。
「サッカーの王様」と評されたペレの本名は、エジソン・アランテス・ド・ナシメント。子どもの頃に憧れていたサッカー選手にちなんで「ビレ」と呼ばれ、いつしか「ペレ」が定着したという。
■ペレ、ジーコ、カカもあだ名 本名を使わない2つの理由
鹿島アントラーズにも所属したジーコは、体が小さかったことから「やせっぽっち」の意味を持つジーコとニックネームが付いた。本名は、アルトゥール・アルトゥネス・コインブラ。サッカーファンでも知らない人が大半だろう。
他にも、ジュビロ磐田でプレーしたドゥンガや東京V時代に得点王に輝いたフッキ、日本でも有名なカカ、ロビーニョ、パトらも、あだ名が選手登録名になっている。
ブラジル人選手にニックネームで使われる理由は主に2つある。1つは、本名が長いこと。ブラジルでは父方と母方両方の姓や洗礼名をミドルネームとして継承する風習があるため、フルネームは簡単には覚えられないくらい長くなる場合がある。
もう1つは、名前のバリエーションが少ないためだ。ブラジルの街中でロナウド、アレックス、ジュニオール、サントスといったポピュラーな名前を呼べば、複数の人が振り向くと言われている。
サッカーは相手の一瞬の隙を突いて、味方にパスを出したり、ボールを呼んだりする。日本では、呼び方を少しでも短くするため、先輩でもプレー中は「さん付け」をやめるチームもある。長すぎる名前や、複数の選手が反応する名前はサッカーではデメリットになり得る。ブラジル人選手が、あだ名を使うのは自然と言える。
ポケモンでは主人公・サトシのパートナーとなるなど、アニメを象徴する存在のピカチュウ。エスパルスのピカチュウは、J2降格のピンチを救う象徴になるのか。名前の話題性に負けない活躍が期待される。
(SHIZUOKA Life編集部)