2023/09/19
人気アイドルグループ元メンバー手掛ける返礼品 地元では喜び・驚き・違和感が交錯
■元AKB48の板野友美さんの化粧品 掛川市のふるさと納税返礼品に
人気アイドルグループAKB48の元メンバーでタレントの板野友美さんがプロデュースする化粧品が、静岡県掛川市のふるさと納税の返礼品に加わる。板野さんは、掛川市を選んだ理由に化粧品づくりに大切な水が良質で自然も豊かな点を挙げたが、地元市民の間では喜びや疑問が交錯している。
板野さんは妊娠中に肌荒れに悩んだことから、自身と同じ苦労をする人に向けて化粧品のプロデュースを始めた。現在販売している化粧品は掛川市内の企業で製造しており、掛川市を選んだ理由に「化粧品づくりには水が大事で、水が良く自然も豊か」と話している。
ふるさと納税に新たに加わるのは、板野さんがプロデュースしたクリームやローションなど9品。寄付額は1万9000円から3万7000円で、ふるさと納税のサイトで10月中旬から寄付を受け付ける予定となっている。
掛川市は静岡県西部に位置し、人口は約11万5000人。東海道新幹線が停車する掛川駅や東名高速の掛川ICがあることから交通の利便性が高い。お茶、メロン、イチゴが特産品で、ふるさとの納税の返礼品となっている。市内には大手化粧品メーカー資生堂の工場がある。
板野さんの化粧品が返礼品に加わることで、市の知名度や税収アップの効果が期待されている。地元市民からは「若い世代に掛川市を知ってもらえるチャンスになる」、「ヤクルトファンなので、高橋奎二投手の奥さんと掛川市の接点ができてうれしい」といった声が上がっている。
■「水がきれいと感じない」、「トラブルが…」 地元市民から疑問
一方、化粧品が返礼品になることに驚きや違和感のある人もいる。掛川市と良質な水が結びつかず、市民からは「掛川市に長年住んでいるが、水がきれいと感じたことはない」、「静岡県内では、清水町や三島市など県東部の方が水はきれいな気がする」、「板野さんは化粧品の事業で金銭トラブルになったという報道が最近出ていたので、市のイメージアップにつながるのか疑問」などの意見がある。
静岡県内で水と言えば、清水町や三島市が知られている。清水町を流れる柿田川は「名水百選」や「21世紀に残したい日本の自然百選」などに認定されている。富士山の雪解け水が湧水の原水と言われ、そのまま飲めるほど水質が高く、水量も豊富。優れた自然条件でしか育たない植物や生き物も生息している。
水の都と呼ばれる三島市は、湧水群の3分の2が富士山地域、3分の1は箱根地域から供給されている。市内の水道水は富士山に降った雨や雪が長い時間をかけて溶岩流をつたい、地下水となった天然水。まろやかな軟水で適度なミネラルを含み、水の味を損なう有機物の量も極めて少ないと評されている。
清水町の柿田川湧水群が「昭和の名水百選」に県内から唯一選ばれているのに対し、三島市の源兵衛川は「平成の名水百選」に入っている。県内では源兵衛のほか、富士宮市の湧玉池・神田川、静岡市の安倍川、浜松市の阿多古川が選出されている。
ふるさと納税の返礼品に加わった板野さんの化粧品がきっかけに、掛川市は水のまちとして認知されるようになるのか。注目される。
(SHIZUOKA Life編集部)