2023/09/28
迫る2024年問題 6割以上の企業がドライバー不足 時間外労働上限オーバーは4割
■ドライバーの人数が多い企業ほど深刻な人手不足
トラックドライバーの労働力不足で物流に大きな影響が出ると言われている「2024年問題」が迫っている。静岡県内の物流事業者の6割以上は現時点でドライバーが不足しており、年間の時間外労働が上限ラインの年間960時間を超えている企業も約4割に上っているという。
民間の調査会社・静岡経済研究所が実施した調査によると、現在のドライバーの過不足感で「非常に不足」と回答した県内の物流業者は15.8%を占めた。「やや不足」を合わせると62.8%となり、人手不足の現状が浮き彫りになった。「適当」と回答したのは33.3%で、「過剰」と「非常に過剰」は合計で3.8%だった。
人手不足は、ドライバーを多く抱えている企業ほど深刻になっている。規模別では50人以上のドライバーが所属する企業の73.1%は「非常に不足」または「やや不足」と答えている。10人未満の企業は、不足の回答が48.3%にとどまった。
2024年問題は、働き方改革を目的にした改正労働基準法の施行に伴い、2024年4月からトラック運転手の時間外労働に関する規制が厳しくなり、物流が停滞すると懸念されている。運転手の時間外労働は年間960時間が上限とされている。ドライバーの労働環境が改善される一方、ドライバーの数が増えなければ運送できる荷物の量は減る。新型コロナウイルス感染拡大後にネットショッピングが増加していることから、運送業の需要も高まっている。
■2024年問題の対応 「十分に取り組めている」は2割未満
運送業は深刻な人手不足に直面し、2024年4月から上限とされている年960時間の時間外労働を超えている企業は多い。静岡経済研究所の調査では、960時間以上の時間外労働をしているドライバーが在籍している企業は38.6%に上った。この割合は規模の大きな会社ほど高い。中には、960時間を上回る時間外労働のドライバーが社内の5割以上を占めているところも少なくない。
2024年問題への取り組み状況に関する質問には、「十分に取り組めている」の回答が18.6%に2割に届かなかった。具体的な取り組みとしては、「運賃の見直し」が93.0%と最も高かった。今後実施予定を含めた主な取り組みは以下のようになった(複数回答)。
【人材・働き方】
①賃金を含む労働条件の見直し 87.8%
②ドライバーの採用強化 75.6%
③システム導入による労働時間の管理 66.3%
【運賃など】
①運賃の見直し 93.0%
②荷主や関係企業との連携強化 81.0%
③輸送配送コストの見直し 70.8%
【労働時間の捻出】
①荷役作業時間や荷待ち時間の短縮 74.6%
②有料道路の利用拡大 68.1%
③デジタル化による生産性の向上 52.9%
【運び方の工夫】
①共同物流の促進 42.7%
②中継輸送の実施 34.7%
③モーダルシフトの促進 28.2%
調査は7月上旬に郵送とFAXで実施され、県内401社が回答。有効回答率は28.8%だった。2024年問題が懸念される2024年4月まで残り半年。物流事業者の努力や工夫だけでは問題解決は難しく、荷主側の協力も求められることになりそうだ。
(SHIZUOKA Life編集部)