車いすバスケットの選手だった浜松市の男性の遺族から寄付の申し出を受けて奨学金制度創設

■返済不要で年間60万円　10月15日から募集開始

静岡県で全国的にも珍しい障がい者を対象にした奨学金制度が創設され、10月15日から募集が始まった。奨学金は返済の必要がなく、年間60万円が給付される。車いすバスケットボールで活躍した浜松市出身の男性の親族から遺産が寄付されたという。

静岡市障害者協会が創設した奨学金制度は「しずおかTIP-OFF（ティップオフ）奨学金」と名付けられた。ティップオフはバスケットで試合開始の際に行うジャンプボールを意味する。障がい者向けの奨学金は県内で初となる。

協会によると、70代で亡くなった浜松市出身の男性の親族から「障害のある人に向けた奨学金として使ってほしい」と今年4月に4000万円の寄付を受けた。この男性は小学生の時に盲腸の手術を受けた後、下半身に麻痺が残って車いすで生活していたという。養護学校を卒業後に一度は就職したが、大学に進学して愛知県職員として採用された。車いすバスケットで国体優勝を果たしている。

奨学金の対象となるのは障がい者手帳を持つ静岡県在住者で、来年4月時点で大学、短大、専門学校に入学見込みまたは在学していることが条件となる。年間60万円の奨学金は返済不要で、在学中は支給が続く。募集人数は5人以内。他の奨学金と併用もできる。

静岡市障害者協会は来年2月3日まで奨学金の希望者を募集し、その後に書類選考を実施する。また、障害者の進学を後押しする目的に賛同する人からの寄付も受け付けている。静岡県によると、今年3月末時点で障害者手帳を持っている人は軽度6級から重度1級まで合計で11万8294人となっている。

（SHIZUOKA Life編集部）