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2023/11/06

人気プロデューサーが45分で“即興” 一度聴いたら忘れない テーマソング誕生の秘話

今年9月にインドネシアへ研修に行った白輪さん(本人提供)

■iZooのテーマソング 初対面のヒャダインさんに依頼

一度聞くと記憶に残る曲とフレーズは、わずか45分で大枠が完成していた。静岡県河津町にある体感型動物園「iZoo」の白輪剛史園長の連載、今回はiZooのテーマソング誕生の秘話。音楽プロデューサーのヒャダインさんは白輪さんとの初めて会った席で、このテーマソングをつくっていた。

 

私は音楽に疎く、CDを買ったこともありません。ただ、iZooを始めるにあたり最初に取り組んだのがテーマソングでした。広く知ってもらうには印象に残る曲が重要だと考えました。

 

音楽関係の知り合いは身近にいなかったので、2回だけ会ったことがあり、SNSでつながっていた東京にいるテレビ局のディレクターに連絡しました。動物園のテーマソングをつくれる人を紹介してほしいとダイレクトメッセージを送ると、近々ヒャダインさんに会うので一緒に来ますかと声をかけてもらいました。

 

音楽を聴かない私は、ヒャダインさんの名前を聞いてもピンときません。社員に「ヒャダインさんって知ってる?テーマソングの作詞作曲をお願いしようと思うんだけど」と伝えると、「そんな大物につくってもらえるんですか!」と驚かれました。

 

ディレクターとヒャダインさんが会うと決めていた日時に同席させてもらい、ヒャダインさんにテーマソングの制作を依頼すると、「いいですよ」と快諾してくれました。どんな動物園なのかをたずねられたので、私は「ライオンもゾウもキリンもゴリラもいません」、「動物園にいるのはカメ、ヘビ、ワニ、トカゲです」などと説明しました。

動物園を見学する白輪さん(本人提供)

■「自分がやります」 作詞、作曲、ボーカル全てを担当

すると、ヒャダインさんはテーマソングのリズムと語呂の良い動物を組み合わせていきました。「ライオンいません、キリンもいません。ヘビヘビ、ワニワニ」と曲になっていきます。初対面の席で、わずか45分。目の前で15秒CMのリズムとフレーズが完成しました。

 

ヒャダインさんに「ボーカルは、どうしますか?お知り合いはいますか?」と聞かれたので「知り合いはいません」と答えると、「それなら自分がやります」と歌ってくれました。作詞、作曲、ボーカル全てを担当してもらう形となりました。

 

ヒャダインさんに制作してもらったテーマソングは“洗脳ソング”と言われるほど、子どもから大人まで幅広い人に浸透しました。iZooのロゴが付いた会社の車を走らせていると、信号などで停車した時に小学生のグループが「ライオンいません、キリンもいません」と大きな声で歌い出す時もあります。ヒャダインさんには感謝していますし、多くの方にiZooを知ってもらいうれしい限りです。

 

iZooを始める時、動物園の運営自体は初めてでしたが、生き物に関する仕事はずっとやってきたので特別な意識はありませんでした。ただ、集客の部分は専門ではありません。施設の知名度を高めるにはテーマソングが一番だと考え、その道のプロに力を借りました。

 

音楽は私の専門外なので、ヒャダインさんに全面的にお任せしました。手直しは一切していません。iZooは開園から11年目に入りましたが、iZooと聞けば伊豆にある爬虫類の動物園というくらいまで知ってもらえるようになりました。テーマソングのインパクトは大きかったですね。

 

<プロフィール>

白輪剛史(しらわ・つよし)。1969年生まれ、静岡市出身。静岡農業高校卒業。幼少期から爬虫類に興味を持ち、1995年に動物卸商「有限会社レップジャパン」を設立。2002年から国内最大級の爬虫類イベント「ジャパンレプタイルズショ―」を開催。2012年に体感型動物園iZooをオープンして園長に就任。

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