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2023/11/16

静岡県の男性育休取得率4年間で3倍以上の伸び 目標値上方修正にも“格差”が課題

政府が少子化対策の一環として施策を進める男性の育休取得

■男性の育休取得率 全国平均17.1%、静岡県は21.8

男性の育児休業を進めようと、厚生労働省が手取り収入を減らさない案を示した。政府は男性の育休取得率を2025年度までに50%まで上げる目標を掲げているが、昨年度は17.1%と程遠い。静岡県では県の計画以上に数字が上昇してることから、目標値を上方修正する方針を示している。

 

政府は6月に制定した「次元の異なる少子化対策」に、男性の育休取得率の目標値として2025年に50%、2030年に85%と明記している。昨年度の取得率は女性が80.2%に対し、男性は17.1%。目標達成に向けて厳しい現実が突き付けられている。

 

そこで、男性の育休取得率を上げる案として、厚生労働省は育児休業給付の引き上げを示した。現在、育児休暇を取得すると賃金の67%が支給される。社会保険料が免除されるため、実質的な手取り収入は8割となっている。これを両親が14日以上育休を取得した場合、80%まで賃金の支給を増やし、手取り収入の実質を10割にすると新たな制度を提案している。

 

政府は、育休を取得しない男性への調査で「収入を減らしたくない」が最も理由として多かったことから、手取り収入を確保すれば育休の取得率が上がると考えている。だが、企業が置かれている状況は、そこまで単純ではない。

 

静岡県では男性の育休取得が全国平均より高い。昨年度は21.8%で、2024年度までに13%に引き上げるとしていた当初の目標をすでに上回っている。そこで、県は2025年の目標値を30%に上方修正する方針を示している。

 

静岡県は2019年度、男性の育休取得率が6.5%だった。数字は伸びているものの、企業の規模によって取得率に開きがある。中小企業からは「社員数が多い大企業とは男性社員1人を欠く影響の大きさが違う」、「人手不足が深刻で、育休を取得する社員の仕事を他の社員が引き継ぐと月の残業時間が上限を超えてしまう」といった声が上がる。

 

企業からは育休中の穴埋めとして、派遣会社からスタッフを雇用する仕組みをつくるなど、政府に具体的な対策を求めている。数字の目標を掲げたり、手取り収入の減少を補う案を示したりすることは簡単だが、その具体策がなければしわ寄せを受ける企業の負担ばかりが大きくなる。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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