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2023/11/17

イチロー氏も注目 富士高校野球部が小学生に投げ方指導 5メートル伸びた児童も

地元の小学生を対象に投げ方教室を実施した富士高校野球部

■静岡県東部有数の進学校 文武両道+野球で地元貢献

元マリナーズ・イチローさんの直接指導で注目された静岡県富士市にある県立富士高校野球部が11日、富士市商工会と協力して地元の小学生を対象にした投げ方教室を開催した。イチローさんが関心を持つきっかけとなった富士高校の野球振興活動。その輪は着実に広がっている。

 

富士高校は、静岡県東部有数の進学校として知られている。野球部員も現役で国立大学や難関私立大学に合格している。文武両道に加えて、もう1つの特徴が野球振興。地元の子どもたちを対象にした野球教室を開き、競技の普及に努めている。これはチームを率いる稲木恵介監督が三島南高校を指揮していた時に始めた取り組みで、昨春に赴任した富士高校でも活動を続けている。

 

進学校の野球部が競技を通じて地域貢献している。その情報を耳にして行動に移したのが、元マリナーズのイチローさんだった。昨年12月、富士高校を訪れて選手たちに直接指導した。

 

イチローさんの訪問で注目度が高まった富士高校野球部は地元で担う役割や責任感を新たにし、今年も野球を通じた地域振興を続けている。今月11日には初めて、富士市商工会とともに地域スポーツを活性化するイベントを実施した。野球の競技人口が減少する中、稲木監督はグラウンド外で活動を続ける理由を語る。

 

「スポーツ活動が減少して、子どもたちの体力、特にボールを投げる能力の低下が著しい状況です。また、学童野球の長時間練習や保護者負担、監督やコーチによる指導法の問題などで野球をする子どもたちは減っています。高校生が地域社会に参画し、ともに学ぶことには大きな意義があります。そして、スポーツへの興味を抱いた子どもたちが健全に成長できるスポーツ団の整備が急務だと思っています」

1時間の指導でソフトボール投げの距離は全員アップ

■腕の振り方はハイタッチ ステップのコツも指導

今回のイベントに参加したのは地元の小学生11人。投げ方教室と走り方教室を計2時間行った。投げ方教室では最初に、小学生の体力テストの項目にもなっているソフトボール投げの距離を計測した。スポーツ以外の選択肢が増え、近年は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、子どもたちはボールを投げる機会が減っている。

 

稲木監督や選手たちは、ハイタッチをするような腕の振り方や勢いをつけるためのステップのコツを指導。1時間ほどの練習で、11人全員がソフトボール投げの距離を伸ばした。中には5メートルも記録を伸ばした男子児童もいた。

 

投げ方教室に続いては、走り方教室。地元にある「ひつじ整骨院」の望月祐院長が講師となり、野球部員は子どもたちとペアを組んでアシスタント役を務めた。

 

参加した小学生の保護者からは「ボールを投げている時に野球部員の皆さんに『おおー!』、『ドンマイ』と励ましていただき感動しました」、「みんな記録が伸び、一体となっている姿が印象的でした」などと感想が寄せられた。参加した小学生からはお礼の手紙も届いた。

 

高校野球は甲子園に出場するだけが目標ではない。富士高校野球部が新たなモデルをつくっている。

投げ方教室に参加した小学生から届いたお礼の手紙

SHIZUOKA Life編集部)

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