2023/11/17
教室にスマホ設置して女児の着替え盗撮 25歳教師を免職 日本版DBS望む声
■保護者が警察に相談して事件化 学校と地元教委は“隠ぺい”
静岡県教育委員会は16日、自身が勤務する小学校で女子児童の着替えを盗撮した疑いで逮捕された25歳の男性教師を免職処分にしたと発表した。この教師が教室に設置していたスマートフォンを女子児童が見つけ、事件が発覚した。小学校と地元の教育委員会は、県教委や警察への連絡を怠っていたという。
県教委によると、県東部に勤務していた25歳の男性教師は7月19日、教室に自身のスマホを設置し、水泳の授業を終えて着替えている女子児童の動画を撮影した。女子児童がスマホを見つけ、学校や保護者に報告。学校と地元教委に事情を聴かれた男性教師は「偶然、録画が作動した」などと答えていた。
しかし、男性教師は警察の聴取に「教室で盗撮できる立場にいると気付き、好奇心から撮影した」などと盗撮を認めた。ただ、警察に連絡したのは女子児童の保護者で、小学校と地元教委は8月3日に保護者から「盗撮について警察に相談している」と言われるまで県教委や警察への報告をしていなかったという。
児童が被害を受ける教師による事件は後を絶たない。割合で言えば、ごく一部の教師による犯罪や不祥事だが、教育現場への信頼は確実に失墜する。静岡県内の小学校に勤務する現役の教師は「日本版DBS」の導入を強く訴えている。
「盗撮は軽微な犯罪と捉える人は少なくないかもしれませんが、子どもたちへの影響は決して小さくありません。直接被害にあった子どもだけではなく、教師という身近な存在の大人に裏切られたことで精神的なバランスを崩すケースもあります。性被害をゼロにすることは難しいかもしれませんが、限りなくゼロに近づける対策は講じるべきだと思います」
■DBS法案提出見送り 現場は踏み込んだ法整備求める声
DBSは子どもと接する職業に就く際、性犯罪歴がないことを確認する仕組みで、すでに英国で導入されている。教師をはじめとする子どもと関わる職業や活動に携わる場合、本人の承諾を経て警察や裁判所などの情報を照合し、性犯罪歴をチェックする。子どもが性被害を受けるリスクを事前に軽減させる目的がある。
日本の事情に合わせたDBSをめぐっては、今年6月に小倉将信前少子化相が臨時国会への法案提出を目指す考えを示し、こども家庭庁の有識者会議は9月に報告書に制度案を取りまとめた。しかし、性犯罪歴を義務づける職種などについて内容が不十分という声が上がり、法案提出が見送られた。
DBSに関しては「職業選択の自由を奪う」、「個人情報流出のリスクがある」といった指摘がある。だが、前出の小学校教師は学校現場で、さらに踏み込んだ法整備を求める声が大きいと話す。
「性犯罪歴がある人を子どもと関わらせる仕事に就かせないことに加えて、犯罪歴がなくても子どもを性的な対象にする可能性の高い人をチェックする仕組みをつくる必要があると現場の教師たちは感じています」
子どもたちへの盗撮やわいせつ行為で処分を受けた教師は学校を変えたり、職業を変えたりすれば、過去を消すことができるかもしれない。しかし、被害を受けた子どもたちの傷は簡単には消えない。
(SHIZUOKA Life編集部)