2023/11/21
「柔軟な発想」、「公共施設で不謹慎」 開催に賛否 市役所の旧庁舎でサバイバルゲーム
■定員100人が半日で埋まる 旧庁舎取り壊し前日にサバゲ―
静岡県島田市は11月26日、解体予定の旧庁舎を舞台にサバイバルゲーム(サバゲ―)を開催する。定員の100人が募集開始から半日で埋まる人気で「全国から人を集める柔軟なアイデアが素晴らしい」と称賛される一方、「戦争を連想させる不謹慎なイベント」と反対の声も上がっている。
イベントを企画したのは焼津市にあるサバゲ―運営会社「スペシャルフォース」で、「島田市役所旧庁舎 ファイナルゲーム!! 要人救出大作戦!!」と銘打った。旧庁舎の解体を知って、市に企画を提案したという。
1962年に完成した旧庁舎は10月6日に役割を終え、11月27日から解体作業に入る。解体後は駐車場として利用される。島田市の染谷絹代市長は11月1の定例会見で、こう話している。
「60年以上使った旧庁舎で、皆さんの思い出に残るようなことができればと考えていました。みんなで盛り上げてワクワクするようなことをして、旧庁舎にお別れしたいと思います」
スペシャルフォースは旧庁舎解体前日となる11月26日にサバイバルゲームを開催する。参加費8000円で100人の参加者を募集したところ、わずか半日で定員が埋まったという。
■「反対意見は古い」、「教育的に問題」 賛否両論割れる
サバイバルゲームは敵と味方に分かれて主にソフトエアガンで撃ち合うゲーム。近年、人気が高まっている。サバイバルゲームを題材にしたアニメやテレビゲームもあり、大人が思っている以上に若者や子どもには親しみがある。
島田市による今回の取り組みについて、市民やインターネット上では賛否が分かれている。賛成する人たちは、次のように島田市を評価する。
「全国から人を集めるイベントは素晴らしい。人が動けば経済の活性化や自治体の魅力発信につながる」
「自治体とは思えない柔軟な発想。考え方の古い人からは反対意見が出ると想定される中で、新しいことに挑戦しようとする姿勢を感じる」
「サバゲ―に否定的な人は危険性や攻撃性を問題視するが、参加者はゲームだと認識している。暴力や戦争を想起させるといった指摘は見当違い」
一方、否定的な意見も少なくない。イスラエル軍とイスラム組織ハマスによるパレスチナ自治区ガザでの戦闘が続く中、公共施設でのサバゲ―は不謹慎という主張する。島田市の一部市議や市民は中止を求める要望書を市に提出した。
イベント開催に反対する人からは「パレスチナやウクライナの問題がある中、時節柄ふさわしくない」、「市がサバイバルゲームを推奨することは教育的に問題がある」、「旧庁舎がサバイバルゲームで幕を下ろすのは、どうかと思う」といった声が上がっている。
開催まで1週間を切ったサバイバルゲームは予定通り実施されるのか、取り壊される旧庁舎が思わぬ形で注目されている。
(SHIZUOKA Life編集部)