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2023/12/30

【2023年1位】トイレットペーパーの表示見てますか? 化学物質過敏症の予備軍は日本に100万人

安全性にこだわったトイレットペーパーを製造する新橋製紙

静岡ライフで配信した2023年の記事の中で、反響の大きかった記事1位から5位までを振り返る年末の特集。1位はトイレットペーパーでも症状が表れる化学物質過敏症の記事でした。予備軍は日本に100万人いるとも推定されています。

 

■香料には化学物質 皮膚の痛みやかゆみ出ることも

トイレットペーパーを購入する際、表示を見る人はどれくらいいるだろうか?食料品と違い、何が含まれているか表示されず、重量さえ記されていない。ただ、トイレットペーパーを使って化学物質過敏症の症状が出る人もいる。そして、化学物質過敏症の予備軍は日本に100万人いると言われている。

 

食料品を買う時は品質表示を細かく見ても、トイレットペーパーの購入では値段しか見ない人は多いだろう。トイレットペーパーの表示に求められているのは幅と長さだけ。使用されている成分は一切記載されていない。重さを記す必要もないため、紙をどれだけ薄くしても消費者には分からない。

 

そんな中、可能な限り薬品を減らす方法を愚直に追求している会社が静岡県富士市にある。創業75年の老舗「新橋製紙」。日本で初めて今の規格のトイレットペーパーを販売した会社として知られている。

 

新橋製紙が生産するトイレットペーパーの原料は100%古紙で、香りや柄がない。漂白剤、合成界面活性剤などを使わず、必要不可欠な薬品さえも極力使用を減らしている。

 

トイレットペーパーの香料は化学物質を含んでいる。その量は健常者には問題ないほど少量。しかし、あまり知られていないが、皮膚の痛みやかゆみといった化学物質過敏症の症状が出る人もいる。

見た目にもこだわったトイレットペーパー「富士山ふふふロール」

■股の吸収率は肘の裏の40倍 製造方法で肌の悩み軽減

人間の皮膚からの吸収率は体の部位によって大きな差がある。股は肘の裏と比べて40倍の吸収率があると言われている。トイレットペーパーの品質による影響が小さくないことは想像に難くない。

 

どのような化学物質がトイレットペーパーに含まれると化学物質過敏症を引き起こすのかは、詳しく解明されているわけではない。ただ、トイレットペーパーの製造に薬品を極力使わないことでリスクを低減できると新橋製紙は考えている。

 

実際、新橋製紙の商品を使ってから、症状が出なくなった人もいるという。佐竹義史常務は「弊社のトイレットペーパーを使うと化学物質過敏の症状が出ないという声がある以上、今の製法を続ける責任があると思っています。手間はかかりますが、真摯に続けてきた自負があります」と語る。化学物質過敏症は予備軍も含めると日本に100万人以上いると推計されており、誰もが決して他人事ではないのだ。

 

トイレットペーパーに香りや色を付けた方が目を引く。薬品を極力減らそうとすれば、本来必要のないものは取り除かれて見た目は地味になる。それでも、新橋製紙は方針を貫く。安心安全なトイレットペーパーを必要としている人を裏切るわけにはいかない。

 

(間 淳/Jun Aida

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