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2024/01/04

使命感で毎日動画配信 職人社長のチャンネル登録者10万人 思わぬ”副産物”も

平松建築が手掛けた住宅

■磐田市の工務店「平松建築」 1年間毎日YouTubeで動画配信

肩書はユーチューバーではない。だが、1年間毎日、動画を配信している。磐田市にある工務店「平松建築」のYouTubeチャンネル「職人社長の家づくり工務店」は登録者が10万人に到達した。動画配信に力を入れる理由は「住宅業界の価値を変える使命感」。YouTubeによって“副産物”も得ているという。

 

「プロはオススメしない時代遅れ設備10選」、「泥棒は?の数を見ています」。平松建築のYouTubeチャンネルには、思わず見たくなる動画のサムネイルが並ぶ。中には、再生回数が200万回以上の動画もある。

 

2020年6月に始めたYouTubeチャンネルの登録者数は現在、10万人に達している。関心が一気に高まったのは、今年に入ってから。全ての動画で家づくりについて解説している社長の平松さんは昨年12月、大きな決断をした。

 

「やるなら徹底的に取り組んだ方が効果は出ると分かっていました。ここまで登録者が増えるとは予想していませんでしたが、これだけの登録者になれば反響はあると想定していました」

2022年12月から毎日YouTubeに動画を投稿している平松社長

■見た目重視で安い家が売れる住宅業界に警鐘

この1年間、平松建築のYouTubeチャンネルでは動画を毎日投稿している。平松さんの脳内に蓄積されている膨大な情報の中から、社内会議でテーマを決めていくという。社長でありながら、ユーチューバーでもハードルが高い毎日投稿を続ける理由は「住宅業界全体の考え方を変えたい思い」に凝縮される。

 

平松さんは住宅業界における最大の問題に「見た目が良くて安い家が売れること」を挙げる。消費者の需要に応える事業を展開するのがビジネスの基本であり、住宅を扱う企業は売れる家を最優先にする傾向がある。だが、平松さんは現状に疑問を投げかけ「価値のある家づくり」を業界全体に広げたいと考えている。その手段の1つが、YouTubeでの動画配信なのだ。

 

「家の購入に失敗すれば、数千万円の損失となります。安くて見た目の良い家を買って20年、30年後に後悔するのではなく、機能性に優れた長持ちする家を当たり前にしていきたいと思っています。本来は光熱費や維持管理費を抑えて、売却できる価値のある家をつくることができるのに、消費者にあまり知られていません。そこは情報発信が上手くできていない、私たちの責任でもあると感じています」

 

毎日投稿を始めたばかりの頃は、同業他社から批判的なコメントもあったという。平松さんは1つ1つのコメントに対して論理的に回答し、今では何も言われなくなった。動画の視聴者が増えたことで、家を建てようとしている人からも、家を建てた人からも相談や質問が届くようになった。広報の課長は「困っている方が全国にいると知りました。声が届きやすくなって責任感が強くなりました」と話す。

 

■YouTubeの毎日投稿で認知度アップ 費用かけずに人材獲得

YouTubeの投稿に力を入れたことで、別の効果も生まれた。幅広い業種で人材獲得に苦労する中、平松建築では採用に費用をかけなくても問い合わせが増えている。YouTubeやInstagramを見て、入社を希望する人が多い。広報の課長は、こう話す。

 

「せっかく働くなら、見た目だけではなく、良い家を建てている会社で働きたいと考える人が増えています。自信を持って嘘偽りのない情報を発信しています」

 

職人社長が毎日、動画を投稿する異色のYouTubeチャンネル。平松さんは「まだまだ、これからです」と業界の変革へ歩みを進めていく。

 

■平松建築のYouTubeチャンネル

職人社長の家づくり工務店 – YouTube

 

(間 淳/Jun Aida

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