2022/08/08
声は変えられる? 元ニュースキャスターが実践する声の質を高める方法
■フリーアナウンサー内山絵里加さん 今年3月まで11年間テレビ局勤務
静岡県浜松市出身の内山絵里加さんは静岡県のテレビ局に11年間勤務し、現在はフリーで活動している。これまでの経験や日々感じたことをつづるコラム「うちやまのこばなし」。第1回のテーマは、「声の質を高める方法」。自分の一番良い、遠くまで響く声を知る方法と、場所も年齢も問わず簡単にできる発声方法があるという。
皆さんは、自分の声が好きですか?あまり好きではない方、声は変えられます。今回は、声の質を高める方法をお伝えしたいと思います。
アナウンサーになってから、母校に声をかけていただくなど、地元・浜松でお話する機会をいただいています。私の子どもの頃を知っている方には、「こんな声じゃなかった」とよく言われます。ありがたいといことに今は落ち着く声と言っていただけるのですが、以前は真逆で、小型犬みたいにキャンキャンした声でした。舌足らずで子どもっぽい声の印象を持たれていたようです。
ニュースを読む時は、落ち着いたトーンの方が聞く方の耳に届きます。普段の会話も、こちらの声が落ち着いていると、相手は話しやすくなるそうです。アナウンサーは毎日、発声練習をします。視聴者が聞きやすい、最も響く声を出すためには、お腹から声を出すのが一番だからです。私がアナウンサーになる前のキャンキャンした声は喉から出していたので、遠くまで届きませんでした。
■遠くまで響き、喉に負担をかけない 自分の一番いい声を知る発声練習
声のトーンは色々ありますが、自分の一番いい声を知る方法とおすすめの発声練習があります。「ん―――」と声を出した時に唇全体がブルブルしたら、お腹から声が出ている証拠です。その声が一番響き、喉に負担がかかりません。そして、唇がブルブルした声のまま、口を開けて声を出します。自分がホルン、管楽器になった気持ちになってください。できるだけ長く、1分くらい声を出し続けるようにトレーニングします。
この発声練習を始めた頃、私は自分の声がこんなに低いんだと驚きました。トレーニングをしていると、普段からお腹を使って声を出せるようになります。喉も痛まなくなります。さらに声を良くしたいという方は、口の中をホールだと思って空間を広げる練習をしましょう。歌手の方も、よくやっている方法で、あくびをするような感じです。その形で発声練習をすると喉が広がって、丸い優しい声が出るようになります。
最初は腹式呼吸に慣れてないので疲れると思います。腹筋が筋肉痛になります。でも、練習を続けていると、自分が管楽器になったような、空気がお腹から出ている感覚をつかめます。ゾーンに入る時があるんです。声を出すのが楽になって、共鳴しているのが分かるはずです。
■発声のポイントは大げさに口を開ける 笑顔と小顔にも効果
知っている方、やったことがある方もいると思いますが、発声では「あえいうえおあお」と声を出す練習方法があります。この時に大切なのは、大げさなくらい口を開けることです。「い」は口を横に引っ張り切る、「う」は最大限に口をとがらせる。変な顔になるくらい動かしてください。表情筋が鍛えられて滑舌が良くなります。
口角が上がったり、顔のラインがシャープになったりする効果もあります。私も写真を見ると顔が変わったと感じますし、アナウンサーになってから口角が上がっていると言われるようになりました。口角が上がっていると、写真の顔はいつでも笑顔でいられます。悲しい顔、怖い顔で写真が残るよりも良いですよね。
誰でも、きょうから簡単にできる声の印象を変える方法もあります。話す内容によって、顔を変えるんです。「声色」という言葉があります。表情は声に乗ります。にこやかに話すと、声のトーンも明るくなります。
ニュースを読む時は「あまり感情を出さないように」と言われますが、私は幸せな内容や楽しい内容の原稿にはニコちゃんマークを書いていました。つらい内容の時は、表情を曇らせてから原稿を読みます。
これは、普段の挨拶も一緒です。同じ「こんにちは」という言葉でも、とびきりの笑顔と眉間にしわを寄せた顔では、相手に与える声の印象は違うと思います。表情を変えると、声の色も変わります。
<プロフィール>
内山絵里加(うちやま・えりか)。1988年11月29日生まれ、浜松市出身。浜松日体高から青山学院に進学し、2011年にSBS静岡放送入社。夕方の報道・情報番組のメインキャスターや、ラジオ番組「内山絵里加のふくわうち」のパーソナリティを担当。2022年4月にフリーアナウンサーとして独立。ラジオ番組は現在も継続中。その他、司会やナレーションなど幅広く活動。