2024/05/03
【静岡県知事選挙】啓発キャラに磯村勇斗さん 過去にも著名人起用 税金投入の効果は?
■沼津市出身の俳優・磯村勇斗さん “知事選の顔”に抜擢
静岡県選挙管理員会は5月9日告示の県知事選挙で、沼津市出身の俳優・磯村勇斗さんを啓発キャラクターに起用すると発表した。低迷する若い世代の投票率アップを期待している。前回の知事選では、みちょぱの愛称で若者から支持される浜松市出身のタレント・池田美優さんを起用するなど、投票率の向上に著名人を“選挙の顔”とするケースは多いが、決して安くない税金を投入する効果を疑問視する声もある。
県知事選の特別番組でMCをした経験も 元アナウンサー赤間優美子さんのコラム
県選挙管理委員会は磯村さんを啓発キャラに起用し、「静岡県の新しいリーダーを選ぼう!」をキャッチコピーに決めた。磯村さんの知名度や人気を生かし、SNSや動画で投票を呼びかける。
磯村さんは沼津市出身の31歳。今年3月に日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞するなど、映画やドラマを中心に活躍している。最近はTBS系ドラマ「不適切にもほどがある!」に出演し、今年10月には主演映画「若き見知らぬ者たち」の公開が決まっている。また、県観光誘客プロモーション「いざ、しずおかへ!れきしず」のナビゲーターや、沼津市制100周年記念をPRする「燦々ぬまづ大使」も務めている。
磯村さんを啓発キャラに起用した背景には、若年層の投票率の問題がある。前回2021年の知事選では、全体の投票率が52.93%。2017年の選挙からは6.49ポイント上昇したが、50%を超えるのがやっとだった。特に、10代から20代の投票率は35%にも届かず、政治への無関心は深刻な状況となっている。
■前回は池田美優さん、2017年は内田篤人さん起用
投票率を向上させようと、県選挙管理委員会は若者からの知名度が高い県ゆかりの著名人を啓発キャラクターに起用してきた。2021年は浜松市出身のタレント・池田美優さん、2017年は函南町出身の元サッカー日本代表・内田篤人さんを抜擢。ただ、思うように投票率は伸びていない。
【過去の静岡県知事選の啓発キャラクターと投票率】
2009年:岡崎慎司さん、加藤夏希さん(61.06%)
2013年:佐津川愛美さん(49.49%)
2017年:内田篤人さん(46.44%)
2021年:池田美優さん(52.93%)
■著名人の起用 高額な契約料で断念する自治体も
県選挙管理員会は県議選でも同様に著名人を啓発キャラクターに起用している。昨年はサッカー日本代表を率いる森保一監督、2019年はユーチューバーのはじめしゃちょーさんが選挙の顔を務めたが、2019年は戦後最低の投票率を下回る46.85%と結果につながらなかった。
こうした選挙の啓発活動は通常、自治体から広告代理店に委託される。静岡県は啓発キャラクターの契約料を明らかにしていないが、他県の知事選では地元ゆかりの俳優に300万円ほどが支払われているケースもある。自治体によっては金額が大きすぎることから、著名人の起用を見送っている。
選挙の啓発費用には税金が使われる。著名人の起用が税金の無駄とは言わないが、費用対効果があったのか検証し、その内容を納税者に公表する義務はある。
(SHIZUOKA Life編集部)