2024/05/06
試験期間に来館者5倍 利用者が料金決める業界初の仕組み 静岡市の水族館で本格導入
■スマートアクアリウム静岡が「ポストプライシング制度」導入
来館者が料金を決める仕組み「ポストプライシング」を試験的に実施していた静岡市にある水族館「スマートアクアリウム静岡」は、この仕組みを本格的に導入すると決めた。試験導入の期間は来館者が約5倍に増加。業界初の取り組みになるという。
松坂屋静岡本館7階に入っているスマートアクアリウム静岡は今年3月29日まで約2か月間、平日限定でポストプライシング制度を試した。これは顧客がサービスを体験した後に金額を決めて支払う仕組みで、顧客の評価を価格に反映させることでサービス向上が期待される。
スマートアクアリウム静岡は2022年4月にオープンした。入館料は大人1400円。スペースは百貨店のワンフロアで、一般的な水族館より規模が小さい。来館者のアンケートでは満足したという回答が多数集まっていたが、利用していない人からは「料金が高い」、「百貨店の水族館なんて大したことないだろう」といった声があった。
そこで、一度は訪れてもらおうと、赤字覚悟のポストプライシング制度の実施を決めた。来館者自身が料金を決めるため、全く支払わない選択肢も認められている。異例の取り組みは好評だった。平日の来館者は前年度の約5倍と急増した。
■対象は平日の個人利用 試験導入後に来館者の声を形に
試験導入終了後、スマートアクアリウム静岡は来館者の意見や売上などをもとに料金制度を再検討した。その結果、「ポストプライシング制度をブラッシュアップして運用することが、お客さまが気軽にご来館できる一番の方法」と継続を決めた。
ポストプライシング制度はゴールデンウィーク明けの5月7日からスタートする。対象は平日の個人入場に限られる。土日祝日は大人(中学生以上)1400円、子ども(小学生)800円、幼児(3歳以上)500円となっている。20人以上や学校の団体利用は団体料金が適用される。
ポストプライシング制度の試験運用中に届いた来館者からの声は形になっている。例えば、「小さい」、「暗くて見にくい」と指摘された魚種解説のパネルはフォーマットを改善してデジタルフォトフレームを追加した。図書コーナーの書籍も増やし、餌やり体験付き館内案内ツアーにはハリセンボンとヤドカリ水槽の餌やりを加えてグレードアップした。
ポストプライシング制度の対象日に利用する場合は、水族館に入って館内を楽しんだ後、出口でアンケートを記入して自分で決めた料金を支払う。大人1000円以上(小学生500円以上、幼児300円以上)で非売品のクリアファイルをプレゼントするなど、支払金額によって特典が付いている。
(SHIZUOKA Life編集部)