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2024/05/09

愛されて64年 ギネス記録に認定された袋麺 夕食の一品と“罪悪感”の少なさが人気

50%近い国内シェアを誇るケンミン食品のビーフン

■世界で年間1500万食以上販売「ケンミン焼ビーフン」

ギネス世界記録に認定されるほど長年愛される商品となったのは偶然ではない。静岡県藤枝市にも工場があるケンミン食品の看板商品「ケンミン焼ビーフン」は販売開始から64年を迎えた。時代に合わせて味や形状などを改良して現在は7代目。他の袋麺では代替できない唯一無二の商品となっている。

 

時代が変わっても味は変えない 静岡市の老舗「大やきいも」

 

ケンミン焼ビーフンは2020年1月、「最も長く販売されている焼ビーフンブランド」としてギネス世界記録に認定された。ビーフンに味が付いているため調理が簡単なところや野菜に合う味付けが国内外でリピーターを増やし、世界で年間1500万食以上を販売している。

 

1960年に誕生したケンミン焼ビーフンは時代の移り変わりによって、少しずつ変化している。2021年にリニューアルした現在の7代目は、形状が四角形から丸に変わった。これにより、一般的な大きさの26センチのフライパンに3食分を並べた際、それぞれが重なることがなくなって調理性が向上した。

 

また、近年のブームとなっているアウトドアの調理器具は丸い形が主流で、リニューアルした丸い形状の焼ビーフンはキャンプのお供としてのニーズにも応えている。

一般的な大きさの26センチフライパンに3つ入る丸型に改良

■時代で変わる味の好み 「気付くか気付かないかの範囲」で改良

味も時代のニーズに合わせて改良を重ねている。現在は鶏肉と豚肉のエキスを使っているが、初代ケンミン焼ビーフンは魚介出汁がベースだった。あっさりした味付けを基本としながらも、複数の旨味を合わせることで味に深みを出している。

 

直近で味を変えたのは5代目。風味を高める目的で、ビーフンに加えている生姜と玉ねぎを粉末からすりおろした生のものに変更した。ケンミン食品で広報とマーケティングを担当している田中国男さんが語る。

 

「ケンミン焼ビーフンは野菜と合う味付け、あっさり食べられるところが特徴なので基本的な味は大きく変えないようにしています。ただ、10年、20年経つとお客さまの好みが変わってきます。お客さまが気付くか気付かないかの範囲内で、ベストな味を追求しています」

 

手軽でおいしい袋麺が次々と発売される中、ケンミン焼ビーフンは長年愛されてきた。その理由は独自のスタイルを貫き、唯一無二のポジションを確立したからと言える。田中さんは、こう話す。

 

「お客さまからは『野菜をいっぱい食べられるところが良い』という声が多いです。そこが特長であれば、他のインスタント食品とは違う場面で求められる商品にすべきと考えています」

初代の即席ケンミン焼ビーフン

■油で揚げず低カロリー 野菜と一緒でヘルシー

ラーメンや焼きそばをはじめとするインスタント麺は、お昼ご飯や夜食のイメージが強い。それに対し、ケンミン焼ビーフンには「夕食の一品」になる特長がある。他社の商品と比べて調理に多少の手間がかかっても、野菜をたくさん食べられるニーズに応えてきた。田中さんは「野菜を食べる時に焼ビーフンも一緒に入れると一層おいしくなる、野菜炒め焼ビーフン入りというポジションです」と表現する。

 

ケンミン焼ビーフンの魅力は近年、SNSを中心に広がり、売上も伸びているという。特に、新型コロナウイルス感染拡大によって自宅で食事する機会が増えたことで常備食として重宝され、リピーターが増えた。同じ麺類でもラーメンよりヘルシーなイメージが強く、“罪悪感”が少ないところも支持される要因となった。

 

実際、ケンミン焼ビーフンは油で揚げずに熱風で乾燥させているため、油で揚げる麺よりもカロリーは低い。また、米が原料で、野菜と一緒に食べることで体に優しいイメージを高めている。

 

懐かしさを残しながら、時代のニーズに合わせた新しさも両立させるケンミン焼ビーフン。シンプルな見た目には、64年間愛され続ける工夫が詰まっている。

 

(間 淳/Jun Aida

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