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2024/06/14

イベントの倍率190倍 人気のドクターイエロー引退に悲しみや安堵 黄色い理由は2つ

■JR東海が発表 ドクターイエロー2025年1月に走行終了

JR東海は「新幹線のお医者さん」や「幸せの黄色い新幹線」と呼ばれる「ドクターイエロー」の走行を2025年1月に終了すると発表した。昨夏の体験乗車イベントには応募が殺到して、倍率は約190倍となるほどの人気。引退を惜しむ声が上がる一方、迷惑行為に悩む人たちからは安堵の声も漏れる。

 

【写真で見る】東海道新幹線からも見える「茶」文字 実はお茶ではなく…

 

東海道・山陽新幹線の線路を点検する専用車両「新幹線電気軌道総合試験車」は、黄色い車体から「ドクターイエロー」の愛称で親しまれている。最高時速270キロで走行しながら、線路や電気系統の設備などに異常がないか確認する役割を担っている。

 

ドクターイエローは700系の新幹線をもとにつくられた7両編成の車両で、10日に1度の頻度で走行している。通常の新幹線とは違って時刻表が発表されていないため見かける機会が少なく、鉄道ファンからは「幸せの黄色い新幹線」と呼ばれる。

 

JR東海によると、現在走行しているドクターイエローは2001年から検測を続けている。老朽化が進んでいることから、2025年1月に引退する。今後は、N700Sに導入されている営業車検測機能で代替する。また、車両基地での撮影会、体験乗車、車体の掃除といったイベントや関連記念グッズの販売を予定している。

静岡県内を走行するドクターイエロー

■黄色い車体は「目立つため」と「誤解を避けるため」

ドクターイエローの車体が黄色い理由は2つあるという。1つは、目立つため。新幹線の線路を点検する保守作業車の車体は夜間でも分かりやすい黄色が使われた。それがドクターイエローにも引き継がれた。もう1つは、乗客が間違わないため。お客を乗せる新幹線と区別し、駅に停車している時に間違って乗る人がいないように黄色を選んだ。

 

ドクターイエローの人気は根強い。関連グッズは子どもから大人まで好評。昨年8月に開催した子ども向け体験乗車イベントの抽選販売には2万3000件の応募があり、倍率は190倍となった。

 

高い人気を誇るだけに、「親子で好きなので見られなくなるのは寂しい。不定期のイベントでも展示でも良いので目にする機会をつくってほしい」、「走行しているところを目にした時は、その日を幸せな気分で過ごせる。役割を終えるのは仕方ないが、走っている姿を見られなくなるのは悲しい」といった惜しむ声が多い。

 

■ホーム殺到や私有地に立ち入り マナー違反の撮影が問題に

一方、ドクターイエローの写真撮影で迷惑をかける人は少なくない。駅に停車しているところ偶然見つけた人たちがホームに殺到して線路に落ちそうなほど近づいたり、通過を予測するファンが立ち入り禁止の場所や私有地に入って撮影したりするケースが指摘されている。

 

こうした迷惑行為を経験、または目撃した人からは「ドクターイエローを発見すると周りが見えなくなってマナーを守らずに撮影する人を何度も見てきたので、引退を聞いて正直ホッとした」、「列車の運行や周りへの迷惑を考えられずに撮影している日本人をまねして写真や動画を撮っている外国人もいる。マナー違反する人に注意しても無駄なので、外国人観光客に迷惑行為が広がる前に引退した方が良い」などの声もあった。

 

ドクターイエローはJR東海とJR西日本が1編成ずつ保有している。JR東海は2025年1月、JR西日本は2027年以降をめどに走行を終了する。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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