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2024/07/21

静岡県にも続々進出 うな重1600円の秘密 研修数日のアルバイトも“職人の味”再現

6月にオープンした富士厚原店

■「鰻の成瀬」急拡大 静岡県には6、7月で計3店舗オープン

1号店の出店から2年も経たず、全国200店舗を超えた。本格的なウナギを低価格で提供する「鰻の成瀬」は、なかなか手が届かない贅沢品を日頃のご褒美に変えようとしている。6月には富士市に静岡県2店舗目、7月は静岡市の葵区と清水区、沼津市にオープン。土用の丑の日を控え、鰻の成瀬の注目度は高まっている。

 

【写真で見る】静岡市には7月に話題の焼肉食べ放題オープン 県内では2店舗目

 

その名前は急速に広がっている。「鰻の成瀬」。2022年9月に1号店となる横浜店を構え、今年6月に全国で200店舗に到達した。静岡県では袋井店に続き、富士厚原店(富士市厚原670-10)が6月にオープンした。

 

鰻の成瀬の特徴はコストパフォーマンスの高さにある。1人前5000円を超える店も少なくない、うな重が1600円から味わえる。仕入れるウナギは二ホンウナギを海外の養鰻場で育てて輸入しているため、為替に左右されやすい。だが、まとまった数量の仕入れや企業努力によって味や価格が安定するようにしているという。

 

提供されるウナギは一般的な店の1.5倍ほどの大きさがある。広報担当の松本依里子さんは「以前は身がしまって小ぶりのウナギが良いと言われていましたが、日本人の食の好みが変わってきて、脂が乗ったジューシーなものが求められる傾向が高くなっています。成瀬では脂が乗った大きめのウナギを用意しています」と説明する。

鰻の成瀬のうな重はボリューム満点でリーズナブル

■アルバイトでも調理できる仕組み 人件費を大幅削減

ウナギは仕込みの段階で蒸し焼きにして、来店客の注文を受けてから焼き上げる。身はフワッと、皮はパリッと仕上げる関西風と関東風の“いいとこ取り”を目指す。

 

タレはしょうゆベースのオリジナル。甘みがありながら、サラっとくどくない。松本さんは「ウナギのタレはすごく甘いイメージがありますが、成瀬のタレはお子さまからご年配の方まで飽きがこない味になっています」と話す。定番の山椒に加えて、ワサビやネギといった薬味で味の変化を楽しめるところも好評だ。

 

こだわりのウナギを低価格で提供できている理由は、店舗のオペレーションにある。老舗は職人がウナギをさばいて串打ちや焼きを行っているが、鰻の成瀬では加工場で一次加工した蒲焼きを店内で蒸し焼きにして事前に仕込みを済ませ、当日の注文が入ったら専用の機械で焼くだけ。数日の研修を受けたアルバイトが調理できる仕組みをつくっている。

 

人件費を抑える工夫もしている。商業施設に入っている一部の店舗を除き、基本的には営業時間を昼食時の午前11時から3時間、夕食時の午後5時から3時間の計6時間にしぼっている。高級品と言われているウナギを安く届ける方法を追求している鰻の成瀬。その理由を松本さんが語る。

 

「敷居が高いと感じている人もいる中で、ウナギを手軽に食べてもらいたい気持ちが強いです。年に1、2回だけ特別な時に食べるのではなく、自分へのご褒美や家族との楽しみに毎月食べる選択肢をつくりたいと思っています。国民食という潜在的なニーズがあるからこそ、全国の店舗にお客さまがいらっしゃっています。ウナギを身近に、いつでも食べられるものにしたいと考えています」

7月にオープンした静岡瀬名川店

■7月に静岡市と沼津市でオープン うな重は全国共通で1600円から

鰻の成瀬は老舗に対抗しようとはしていない。ウナギが身近ではない人たちにも楽しみ方を提案しているのだ。成瀬でウナギのおいしさを知り、地元の老舗に相乗効果が生まれることも歓迎している。

 

鰻の成瀬は7月、静岡市に瀬名川店(葵区瀬名川2-27-35)、清水追分店(清水区追分2-18-11)、沼津香貫店(沼津市中瀬町3-33)を出店した。全国全ての店舗で、うな重は梅1600円、竹2200円、松2600円。価格は安くても満足度は大きい。

 

(間 淳/Jun Aida

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