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2024/07/23

あと4県で全国制覇 ウナギの常識覆すチェーン店 1年9か月で200店舗まで拡大のワケ

■「鰻の成瀬」の店舗急増 居ぬき物件を活用

今年は7月24日と8月5日が土用の丑の日となっている。2022年9月に横浜市で1号店をオープン「鰻の成瀬」は6月、出店200店に到達。全国制覇まで残り4県に迫っている。静岡県にも6月と7月で計4店舗をオープン。驚異的なスピードで店舗を増やしている理由は、常識を覆す発想と初期費用を抑える工夫にあった。

 

【写真で見る】静岡市には7月に話題の焼肉食べ放題オープン 県内では2店舗目

 

今年6月、富士市に「鰻の成瀬 富士厚原店」がオープンした。オーナーが物件を決めてから実際に開店するまでの期間の短さ、このスピード感に鰻の成瀬が急速に店舗を拡大している秘密が隠されている。

 

鰻の成瀬の店舗は外観や内装に統一感がない。個室のある店舗もあれば、カウンターのみの店舗もある。それぞれ雰囲気の違うところが特徴となっているのは、出店にあたって店舗を新築するのではなく、元々あった飲食店の内装や備品を生かす「居ぬき物件」が基本となっているためだ。富士厚原店は元々、居酒屋や焼肉屋として使われていた。

 

居ぬき物件を活用することで、店舗のオーナーは初期費用を抑えられる。さらに、オープンまでの期間を大幅に短縮できるのだ。広報を担当する松本依里子さんは、こう話す。

 

「戦略として出店ありきではなく、場所を問わずに良い物件が空いたら店舗を構える考え方です。そのため、駅前や商業施設の店舗、郊外の店舗など様々で、スピード感を持って全国に拡大できています。フラッと立ち寄るカフェと違って、ウナギ店のお客さまは目的が明確です。利便性の高いところ、人が集まるところに出店すれば売上を伸ばせるとは限りません」

ウナギ一尾が丸々乗ったうな重(松)は2600円

■場所にこだわりなし 空いたタイミングの一番良い状態で出店

チェーン店が店舗を増やす場合、駅前や国道沿いなど、場所や条件をしぼるケースは多い。ところが、鰻の成瀬は「エリアを狙うことはせず、店が空いたタイミングに一番良い状態で出店する」ことを心掛けているという。会社の本部には専門部署があり、不動産会社とも連携しているため、空き店舗の情報は随時、入ってくる。

 

時間をかけずにオープンできる理由には、店舗運営の工夫もある。ウナギは「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」という言葉があるほど経験が求められる。職人の確保や人材育成は容易ではない。鰻の成瀬には職人技がない代わりに、誰でも安定した味を提供できるオペレーションが整っている。

 

事前に加工場で一次加工した蒲焼を店内で蒸し焼きにしているため、調理は店内で注文が入ったら専用機の機械で焼くだけ。アルバイトを中心に運営できる仕組みを整えている。

 

にぎわいの少ないエリアなど、立地によっては開店直後に苦戦するケースはある。ただ、その際は本部主導で広告を協賛したり、提携している飲食店の情報サイト「ぐるなび」の担当者を招いて加盟店向けの勉強会を定期的に実施したりしている。飲食店未経験のオーナーが半数以上を占めているが、オープン後も本部がサポートしているため、「手取り足取りフォローしてもらえているのでありがたい」といった声が届いている。

 

鰻の成瀬は6月に店舗数が全国で200を超え、7月には静岡市の葵区と清水区、沼津市にも出店した。あと4県で全ての都道府県に店を構えることになる。今年6月には海外1号店を香港にオープン。驚異的なスピードで店舗を拡大できるのは決して偶然ではない。

 

(間 淳/Jun Aida

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