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2025/02/13

「色々と気付かれてしまう…」 フジテレビ問題で膨らむ 他局や地方局の不安と本音

■費用対効果あるのか疑問 企業がCM出稿辞める口実に

タレント中居正広さんと女性とのトラブルに社員が関与したなどと報じられたフジテレビが窮地に立たされている。他局にとってはライバルの陥落は追い風となりそうだが、見通しは決して明るくない。別のキー局で勤める局員からは「色々と気付かれてしまう」と不安を隠さない。静岡県を含む地方局への影響も大きいという。

 

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フジテレビ問題の収束が見えない。中居正広さんに関連する問題をきっかけに会社の風土が問題視されてスポンサー離れに歯止めがかからず、大幅な収益減少が避けられない状況となっている。

 

テレビ局はCMを収入源としている。今回の問題を受けて企業がフジテレビへのCM出稿を控えれば、他の局にはチャンスが広がるように見える。しかし、話は、そう簡単ではないという。フジテレビとは別のキー局に勤務する局員が不安を吐露する。

 

「実は、今回の問題がCM出稿を辞める口実になると考える企業が少なくありません。テレビ離れが加速していて視聴者の年齢層は高齢者に偏っていますし、若い世代はCM中にスマホを見る人も多いと思います。そもそも、テレビCMに費用対効果があるのか疑問に思っている企業は多いんです。ただ、今までの付き合いなどからCM出稿を辞めるタイミングや理由がありませんでした」

苦境に立たされているフジテレビ

■広告費はネット一強時代 キー局のスポンサー離れは地方局にも影響

メディアの広告費は「ネット一強時代」が到来している。インターネットの総広告費は2021年に、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌の“オールドメディア”4媒体の合計を逆転した。そして、その差は一層拡大している。この局員は、テレビCMの効果を疑問視している企業が増えていると肌で感じている。そして、こう続ける。

 

「フジテレビに限らず、他の局も多かれ少なかれ同じような企業体質とスポンサーには見られていると思います。週刊誌報道などで、いつ矛先がフジテレビから別の局に向けられるか分かりません。フジテレビの問題によって、これまでスポンサーが何となく不安や疑問に思っていたことが浮き彫りになってしまったと感じています。テレビ業界のネガティブな要素を色々と気付かれてしまい、フジテレビ以外の局もスポンサー離れが進むと予想しています」

 

さらに、この局員は無関係に思われがちな地方局への影響も大きいと話す。その理由は、テレビ局の収益構造にある。地方局は系列キー局が販売したCMを流すことで分配金を得る仕組みになっている。地方局の収益に分配金が占める割合は高く、キー局のCM販売に大きく左右されるのだ。つまり、キー局のスポンサー離れは地方局にも死活問題となる。

 

■キー局の支局になる!? 地方局の存続危機

さらに、地方局にとっての不安の種は、もう1つあると前出の局員は指摘する。フジテレビの問題が露呈する前から、キー局の広告収入は大幅に落ち込んでいる。そこで、分配金を減らすために「地方局を支局化」する案が何年も前から出ているという。

 

「キー局の分配金がなくなると経営難に陥る地方局は少なくありません。キー局が分配金を廃止し、地方局に必要最小限の記者やディレクター、カメラマンやアナウンサーだけを残して、キー局の支局のような形にする方法は一案に上がっています。地方局で取材体制と小規模なスタジオだけ維持しておけば、大きな事件事故があった時も対応できますから。ただ、それが現実になると、当然ながら地方局の局員は大幅に減らされることになります」

 

フジテレビの問題はフジテレビだけにとどまらない。ライバルとなるキー局も地方局も影響が避けられない。取材に応じた局員は「フジテレビだけではなくテレビ業界全体の大ピンチです。斜陽業界だと感じていましたが、衰退するスピードが速くなりそうです」とため息を漏らした。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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