2025/02/27
「名前の連呼うるさい」 静岡市議会の会派が選挙カー使わない方針 連呼の効果は?
■3月23日静岡市議選 公明党静岡市議会は選挙カー使わず活動
3月14日に告示される静岡市議会議員選挙で、公明党静岡市議会が選挙カーを使った街宣活動を行わない考えを示した。有権者からの意見を反映したという。選挙カーによる選挙活動には細かい制約が定められており、連呼せざるを得ない事情もある。また、耳障りに感じる有権者がいる一方、投票行動に影響があるという研究結果もある。
静岡市議選は3月14日に告示され、23日に投開票される。この選挙に公認候補6人の擁立を予定している静岡市議会の会派・公明党静岡市議会は、選挙カーを使わずに戦う。その理由を次のように説明した。
「選挙期間中に候補者名を連呼しながら走行する選挙運動用自動車での街宣活動については、候補者のアピールなどのために続けていますが、市議会議員選挙の場合、限られた地域を何十台と走ることにより、渋滞の原因になったり、あっという間に通り過ぎてしまうため、名前の連呼のみで『うるさいだけで迷惑』など有権者からも必要性を見直す声も多く寄せられています」
この判断に対し、市民からは賛否両論巻き起こっている。賛成する声には「選挙カーは時代に合っていない。使用しないのは好感が持てる」、「名前の連呼は迷惑。うるさい候補者には投票しない」といった内容がある。
一方、選挙カーの必要性を訴える声もある。有権者の中には、「選挙カーは選挙が近いと知るきっかけになる」、「名前を耳にしたら、どんな人なのか調べてみようかなという気になる」と話す人もいる。

3月23日に投票日を迎える静岡市議選
■選挙カーに細かいルール 名前連呼は仕方ない!?
なぜ、候補者たちは選挙カーを使うのか。その背景には選挙の効率性を保つための公職選挙法がある。その中に選挙期間中の戸別訪問を禁止するルールが定められており、広く名前を知ってもらうには選挙カーが有効と捉えられている。
そして、選挙カーに関するルールも細かく決められている。車を止めれば演説できるが、走行中は同じ内容を繰り返す「連呼行為」しか認められていない。そのため、走行中は候補者の名前だけを連呼するやり方が通例となっているのだ。
名前の連呼は耳障りと感じる有権者が少なくない中、選挙カーや街頭演説は得票につながるという研究がある。大阪大学大学院の三浦麻子教授らの研究グループは、2015年に兵庫県赤穂市の市長選で選挙カーと投票行動を分析。その結果、自宅近くを選挙カーが走った有権者は、その候補者に投票する確率が大幅に高くなった。
もちろん、赤穂市長選と静岡市議選の候補者は異なり、両市の人口も大きく違うため、単純な比較はできない。ただ、3月の市議選で公明党静岡市議会の候補者の得票に今までとは全く違う傾向や結果が出れば、選挙カーに対する考え方が変わるかもしれない。
(SHIZUOKA Life編集部)