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2025/03/07

中学1年生がつくった驚きの作品 ブロックで羊のモコモコ感まで表現 製紙会社がお仕事依頼

■放課後デイに通う中学1年の男子 地元企業のキャラクターをLaQで制作

2次元のイラストから瞬時に3次元をイメージできるという。富士市にある放課後デイサービス「ふじ未来サポート」に通う中学1年生の男子生徒が、プラスチック製ブロック「LaQ(ラキュー)」で地元製紙会社の羊のキャラクターをつくり上げた。羊のモコモコ感まで表現する作品に仕上げている。

 

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完成度の高さに誰もが驚いた。「LaQ」という小さなブロックで、丸みのある羊のキャラクターを組み立てた。しかも、二足で立つところまで形にした。

 

作品を手掛けたのは、富士市の放課後デイサービス「ふじ未来サポート」に通う中学1年生のりゅうせい君。地元の製紙会社・新橋製紙から、羊をモチーフとしたオリジナルキャラクター・メリーの制作を依頼された。

 

りゅうせい君と新橋製紙の出会いは昨年4月にさかのぼる。新橋製紙が、ふじ未来サポートの子どもたちを対象にした工場見学と仕事体験の場を設けた。普段当たり前に使っているトイレットペーパーの製造工程を知ってもらったり、トイレットペーパーを包装する仕事を体験したりしてもらうことで交流を深め、子どもたちが自分に合った仕事を見つけるヒントにする目的だった。

LaQでメリーをつくった中学1年生のりゅうせい君

■新橋製紙が仕事として依頼 約7か月かけて完成

この時、ふじ未来サポートのスタッフとの会話で、りゅうせい君の話題になった。「LaQが得意な男子生徒がいるんです」。LaQは7種類のパーツを組み合わせて様々な形をつくれるブロックで、りゅうせい君は説明書がなくても頭の中でイメージして組み立てていくという。しかも、2次元のイラストを見ただけで、LaQで3次元を表現できる。

 

りゅうせい君は新橋製紙の製品やグッズにプリントされているメリーを見ると、あっという間にLaQで小さなメリーを完成させた。この頃、新橋製紙はメリーの発信に力を入れていたこともあり、正式な仕事として昨年6月、より大きなサイズのメリー制作をりゅうせい君に依頼した。新橋製紙の山﨑清貴社長が当時を振り返る。

 

「小さなパーツで立体的な作品をつくる能力にびっくりしました。ぜひ、本人が満足いくまでメリーをつくり込んでほしいと思いました。納期を『りゅうせい君が納得できるまで』と決めて、制作をお願いしました」

 

りゅうせい君は約7か月かけて、高さ約20センチのメリーを完成させた。特に苦労したのは下半身だったという。モコモコしたメリーの上半身を表現するとピースが多くなって重くなる。そうすると、二足で立たせることが難しくなるのだ。

メリー完成式で記念撮影する新橋製紙の山﨑社長(左)とりゅうせい君

■「説明書ないのに」、「すごくかわいい」 完成度の高さに驚き

りゅうせい君は下半身を安定させてバランスを取るために試行錯誤した。最初は中を空洞にしていた下半身にピースを割き、上半身の重みにも耐えられる構造にたどり着いた。

 

2月3日にはメリーの完成記念式が開かれた。新橋製紙の従業員からは「説明書もないのに信じられない」、「立体的ですごくかわいい」などの声が上がった。現在は事務所の入口に飾られているが、より多くの人に見てもらえる方法も考えている。

 

今回の仕事依頼は、新橋製紙が取り組んでいる地元貢献活動の一環で実現した。山﨑社長は「私たちの会社があるのは、地域の方々のご理解やご協力があるからです。決して規模の大きな会社ではありませんが、地元の力になれることを続けていくつもりです。特に子どもたちと接する機会を増やしていきたいと思っています」と語る。

 

オリジナルキャラクター・メリーを通じて生まれた、製紙会社と放課後デイサービスの縁。今後もりゅうせい君や他の子どもたちへの仕事依頼を模索し、交流を深めていく。

 

(間 淳/Jun Aida

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